[ 機械 ]
(2016/7/29 05:00)
中身も大事だが、見た目も大事―。「第46回機械工業デザイン賞」を受賞した19製品は、最先端の機能や使いやすさはもちろんのこと、見た目の美しさやシンプルな外観が際立っている。これら優れたデザインを生み出した各社の取り組みを紹介する。 (19回連載)
【車載型排ガス計測システム OBS-ONEシリーズ】
小型で設置・操作簡単に
2017年9月には欧州で実路排ガス試験(RDE)規制が開始される。堀場製作所の「OBS―ONEシリーズ」は、この規制を見据えて開発した。路上走行中の自動車から排出される一酸化炭素(CO)、NOX(窒素酸化物)、粒子状物質(PM)などの排ガス成分などの量を測定する車載型排ガス計測システムだ。
従来の実路測定用分析計はサイズや大きさだけでなく設置に工具が必要などで難しく、測定に要する時間がかかっていた。そこで小型でフレキシブル、簡単な設置、ユーザーフレンドリーを目指し開発を進めた。
特徴は必要な計測ユニットだけを選んで使えること。「トラックと乗用車では取得するガス種が異なるため、一つ一つの機能を分離した方がユーザーの要求に応えやすい」(花田和郎自動車計測設計部部長)という。最低限の測定ができる乗用車のセットを基準とし、さまざまなガス種を測定、入れ替えできるようにユニットごとに固定する形を選んだ。
OBS―ONEは構造体であるアルミフレームに持ち手の機能を持たせ、1人でも2人でも持ちやすくしている。
同時にフレームは装置に接続する配管、配線を保護する役割もある。フレームに形成したガイドに沿って上下のユニットを連結可能にし、締結のための工具を不要にして搭載時間の短縮につなげた。装置の角も丸みを付け座席を傷つけず、シートベルトでも固定できる。
配管、配線などの接続、操作は前面に集めた。一見難しそうな計測も、クリエイティブデザインチームの島充子氏は「実際に装置を触ると簡単に分かるデザインにした」。
一度は完成形ができたものの従来の延長線上だった事や、今後の主力になる事もあり「上から駄目出し」(花田部長)となった。恩田義久自動車計測設計部メカニカルデザインチームチームリーダーは「搭載時間の短縮でも、頑張った分はかえってきた」と手応えを感じている。
(京都・水田武詞)
(2016/7/29 05:00)
関連リンク
機械・航空機1のニュース一覧
- 建機2社の4―6月期、円高響き減収減益−コマツ、当期益半減(16/07/29)
- 松井製作所、金型温度調節機12機種を9月発売-操作性と加熱能力向上(16/07/29)
- 第46回機械工業デザイン賞(1)最優秀賞(経済産業大臣賞)−堀場製作所(16/07/29)
- 三菱重工、MHI-SKの食品包装機械をMHI-MSに統合(16/07/29)
- ファナック、製造IoT基盤対応へ仕様書を提供-開発環境オープン化(16/07/29)
- 6月の建機出荷3.7%減、1889億円で11カ月連続減-建機工まとめ(16/07/29)
- MonotaROの1―6月期、売上高21%増(16/07/29)
- エアバス、英国政府などと合意−輸出信用へのアクセス再開プロセス(16/07/29)