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[ エレクトロニクス ]
(2017/2/22 05:00)
東芝が分社して設立する半導体メモリー新会社のパートナー選びが本格化する。新会社の株式の50%超を売り出す新たな条件に、海外企業を中心として入札への参加意欲が高まっている。関心を寄せる企業はメモリーメーカーやIT、半導体受託製造業者(ファウンドリー)などバラエティーに富む。その顔ぶれを点検すると「韓国サムスン電子への対抗軸」という一群の存在が浮かび上がる。(後藤信之)
【“うま味”増す】
「条件変更により、資金力のある世界企業から声がかかるようになった」―。東芝幹部は明かす。同社は半導体メモリー新会社の株式の過半を売却する方針を打ち出した。当初は20%未満を3月末までに売却し、債務超過回避を目指す意向だったが14日に転換。売却時期も先送りした。現時点で東芝は新会社株式の3分の1超を保有し、経営の主導権を確保したい考え。売却する株式も複数社に割り当て、各社の経営への関与を抑えたい意向だ。
出資企業にとって新会社の経営に深く関与できず、この点では魅力は低い。一方、売却比率の引き上げで「ガバナンスに不安を抱える東芝の影響力が弱くなる点はプラス」(金融筋)。また「純投資であっても“うま味”が増した」(同)ことから意欲的な企業が増えている。
具体的には、東芝とメモリーで協業する米ウエスタンデジタル(WD)、同業の米マイクロン・テクノロジーのほか、米アップル、米マイクロソフトなどIT企業が挙がる。当初から関心を示してきた台湾・鴻海精密工業や韓国・SKハイニックスなども名乗りを上げる可能性が高い。
【追う構図】
今後、東芝は入札手続きを経てパートナーを選定するが、業界関係者は「米企業とはお互いにシンパシーを感じているようだ」と明かす。その背景には「対サムスン」という共通テーマがある。
スマートフォンやパソコンに搭載する半導体「DRAM」は、サムスンがシェア約45%で圧倒的トップに立つ。東芝が手がける「NAND型フラッシュメモリー」でも首位はサムスン(シェア約30%)で、東芝(同約20%)、WD(約15%)が追いかける構図だ。
【防衛の意味も】
アップルなど米企業は「DRAMでサムスンが支配的地位を築いたことを快く思っていない」(業界関係者)。そのため東芝のメモリー新会社への出資は、DRAM業界と同じことがNANDメモリーで起きないようにする「防衛の意味合いもある」(同)という。
TSMCは、アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」のCPUを受託生産している。サムスンはファウンドリー事業を強化し、両社の蜜月関係に割って入ろうとしている。TSMCもサムスンへの対抗心は強い。
一方、東芝幹部は「資金力のある企業は、声も大きい」と明かす。複数社に株式を売却すれば、対サムスンという総論で一致しても、各論での利害関係の調整は難しくなる。最良のパートナーたちを選び出すための道のりは険しいものになる。
(2017/2/22 05:00)
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