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[ エレクトロニクス ]
(2017/9/19 05:00)
日本勢の経営主導守れるか
東芝は半導体子会社「東芝メモリ」の売却について、20日の契約締結を目指し、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と詰めの協議を急ぐ。同連合には米アップルなどメモリーの有力顧客が名を連ねる。メモリー不足という危機感を共通して集まったこの“東芝サポーター”は頼もしい存在である一方、買収スキームで日本企業の影は薄い。日本勢で東芝メモリの経営を主導する体制を盤石にできるかが、残された課題の一つだ。(後藤信之)
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同連合は買収後の設備投資費などを含め2兆4000億円規模を用意し、東芝メモリの買収を提案。産業革新機構や日本政策投資銀行は買収段階で出資せず、売却に反対する米ウエスタンデジタル(WD)が起こした訴訟が解決した段階で株を引き受ける。
革新機構と政投銀の穴埋めを必要とするこのスキームを可能にしたのが、米企業の存在。アップルのほか、デル、キングストン・テクノロジー、シーゲイト・テクノロジーが参加し、6000億円規模の資金を拠出するとみられる。半導体メモリーは需要に供給が十分に追い付かない状態。米企業の参加は「東芝メモリの事業体制を守り、調達を確保することが目的」と東芝関係者は指摘する。
米企業が注目される一方、日本企業の存在感は薄い。東芝や複数の日本企業が参加する構想だが、拠出額は数千億円単位で見劣りする。WDが軸の「日米連合」への参加を検討したゆうちょ銀行も「ベインから話は来ていない」(関係者)と明かす。
日米韓連合の出資スキームは日本勢が議決権の過半を取得する内容ではあるが、「比率だけみれば簡単に外資勢にひっくり返される水準」(交渉関係者)だ。東芝は、日本勢による東芝メモリの経営主導を担保した上で契約にこぎつけられるか。頂上を目の前にした今もなお道は険しい。
(2017/9/19 05:00)