[ オピニオン ]

産業春秋/「現場は哀しいほど元気だった」

(2018/9/14 05:00)

日本の製造業の競争力が落ちてきている。なぜか。中国をはじめアジアの新興国が力をつけて、日本が相対的に落ちてきたとする説はもちろん有力だ。ただ、それだけではない。

元東大総長の吉川弘之さんは「戦後、大学で学んだ若いエンジニアが工場に配属され、工員さんと一緒に働いた。50歳ぐらいのおばちゃんのアイデアをエンジニアが生かして『1円もうかった』とみんなで盛り上がった。現場は哀しいほど元気だった」とし、科学者の視線で製造業を振り返る。製造現場に多くの一線級のエンジニアが配属されて、生産技術に磨きをかけていた。

続けて吉川さんは「昭和はボトムアップでうまくいった。平成になると見事にトップダウンに変わった」と分析する。

このトップダウンの影響は、最近話題の研究費問題にも表れている。「役所が有名教授を集めてきれいな絵を描き、研究費を細分化して配る。若手が自主的に研究テーマを選べなくなってきている」と吉川さんは指摘する。

これからはどうすべきか。「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きているんだッ!!」。テレビドラマ『踊る大捜査線』の青島俊作刑事のセリフだ。ボトムアップに回帰するのが近道ではないか。

(2018/9/14 05:00)

総合1のニュース一覧

おすすめコンテンツ

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい空気圧の本

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

技術士第一次試験「機械部門」専門科目過去問題 解答と解説 第9版

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

誰も教えてくれない製造業DX成功の秘訣

電験三種 合格への厳選100問 第3版

電験三種 合格への厳選100問 第3版

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン