(2023/3/28 05:00)
政府は月末に少子化対策のたたき台をまとめる。文字通り概要(素案)であり、少なからぬ課題を残した内容となる見通しだ。子育て世帯への経済的支援を手厚くすることで、企業の負担が増える懸念や、子育て世帯と単身者との不公平などの問題が浮上する。統一地方選挙を考慮してか、懸案の財源問題に進展はない。政府は6月までに政策と財源を提示する予定だ。限られた時間の中、世論が納得する効果的な対策を示せるのか、正念場の政権を注視したい。
政府は児童手当と育児休業給付金の拡充策をたたき台に明記する。このうち児童手当は所得制限を撤廃するため、必要な財源が増える。複数の子どもがいる場合は給付額を第1子より加算する仕組みも導入する。多子世帯への給付増次第では数兆円の予算規模に達する試算もあるが、財源は確保できていない。
一方の育休給付金は男性の育児休業を促すのが目的で、政府は男性の育休取得率(2021年度14%)を25年度に50%、30年度に85%に引き上げる目標を掲げた。産後の一定期間、男女が育休を取得しても手取りの10割を補う育児休業給付金を支給するほか、非正規雇用者らも育休給付金の対象に加える。ただ財源となる雇用保険料は労使が折半しており、産業界の負担が過度に増えないか懸念される。
パートタイマーなどがあえて勤務時間を抑制する「年収の壁」解消への支援も講じる。壁を越えたため発生した社会保険料負担を企業が肩代わりした場合、時限的措置として企業に助成金を払う案などが浮上する。だが恒久財源ではなく、壁問題が解消しない単身者らとの間で不公平が生じる課題も残る。
子育て世帯への経済的支援をめぐり、財源をはじめ企業負担、不公平などの課題が山積している。加えて、若者の経済基盤強化に向けた非正規雇用の正規化や待遇改善、さらに出産後の女性活躍を促す日本型職務給の確立など働き方改革も推進する必要がある。政権は国会審議を尽くし、今国会での最重要課題と位置付ける少子化対策で最適解を提示してもらいたい。
(2023/3/28 05:00)
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