てくのハウス、地域に根差し信頼醸成 製品の安全性確認し販売

(2024/2/29 12:00)

「モノは売らんで良いから、自分を売り込んでこい」と新入社員に必ず伝えると、てくのハウス(京都府宇治市)の牧野伸哉社長は言う。「我々の存在価値は、地域に根差し地域から愛されること」とし、顧客からの信頼こそ最も重視すべき第一歩だからだと続ける。信頼は一朝一夕には得られず、顧客の要望や困りごとを聞き、適切な製品を販売し、施工から使用法、不具合の際の対応までを繰り返すことで醸成していく。そこに安全性が最優先されることは言うまでもないと強調する。

  • てくのハウスの存在価値は、地域に根差し地域から愛されることにある

てくのハウスは1976年の創業以来、顧客からの信頼を得ることを事業の柱に置いてきただけに、牧野社長は「製品安全への意識を持つことは自然に備わっていた。人と心が通い合う拠点を作るのが初代社長である父の思い。それを受け継ぎ発展させるのが私の使命」と話す。長年にわたり築いた信頼も、安全への取り組みがおろそかになれば一瞬にして崩れてしまう。だからこそ、顧客の安全が担保されているかどうかを判断し適切な製品しか販売しない。

仕入れ選定では、製品の安全性を確認するのは当然のこと。それでも起こり得る万が一の不具合時にメーカーから修理や製品交換など十分なアフターサービスが実施されているか、製品事故などを防止する体制が構築されているかをチェックする。顧客の顔が見えるからこそ石橋をたたいて渡る。

  • 店舗前にカフェを開き、高齢者に防犯防災と家電製品の安全性を伝える牧野社長

この事業展開を大手家電メーカーが評価し、中堅管理職を対象にした研修として毎年3―4カ月間にわたり、てくのハウスに社員を派遣する。研修生は現場に入り作業を通し顧客体験と製品安全に関する改善点など製品改良へのフィードバックを持ち帰る。

製品リコール情報があれば、会員制交流サイト(SNS)に登録する3000人と、地域2万戸に配布するチラシで情報を提供する。さらに家電の正しい使い方やメンテナンス方法を掲載し、地域における製品事故防止に役立てる取り組みを展開している。

「脱・町の電気店」と牧野社長は語る。経営を取り巻く環境は厳しい。その対応策としてリフォーム、介護などに事業を拡大させてきた。京都・大阪のベッドタウンとして発展してきた地域は、全国平均と同じく高齢社会となっている。23年12月に宇治市と連携して「高齢者向けコミュニティー・スペースを提供する事業で店舗前にカフェをオープンした」(牧野社長)という。お年寄りが憩いの場として利用してもらい、さらに防犯防災と家電製品の安全性についても知ってもらえる場にしていく考え。「人が集まる母屋」を目指し、地域貢献につなげていく取り組みでもある。製品安全の志向が新たな展開へと広がりを見せている。

(2024/2/29 12:00)

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