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[ 科学技術・大学 ]
(2016/8/25 05:00)
大阪大学接合科学研究所の森貞好昭特任講師らは、接合部の強度が低下しない低温摩擦接合技術を開発した。接合面の温度を金属組織の変態温度以下に抑えた。炭素工具鋼「SK105」で接合部の強度が母材と同等であることを確認した。自動車のエンジン部品や配管部品などの加工用として採用を提案していく。
摩擦接合では鋼材同士を圧接しながら回転させることなどによって、摩擦熱で金属組織を軟化させて接合する。鋼材同士を押し当てる圧力を通常の3倍の240メガパスカル(メガは100万)に上げ、回転速度は20分の1の毎分100回転に抑えた。
摩擦熱による温度上昇を抑えつつ、高圧で金属組織をひずませて再結晶化させる。
直径10ミリメートルのSK105の棒材を接合したところ、引っ張り強度は母材と同等だった。加工熱で金属組織がもろい組織に変化していないことを電子顕微鏡で確認した。
従来の摩擦圧接法では接合部の強度が母材の6割程度に低下するため、強度が1・7倍に向上したことになる。接合時間は数十秒と加工効率は高い。
アルミニウム材と鉄鋼材など、異種金属の接合法としての活用を見込む。企業と連携し、実際の部材で生産性と強度などを検証し、産業応用を目指す。
(2016/8/25 05:00)