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(2017/6/15 05:00)
【ヒートポンプ排熱利用 省エネ型低露点除湿機】
中国市場 環境規制で追い風
西部技研(福岡県古賀市、隈扶三郎社長、092・942・3511)は、従来製品より約40%省エネ性を向上させたヒートポンプ排熱利用省エネ型低露点除湿機を開発した。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーや電気自動車(EV)用リチウム電池などの製造現場での利用を見込む。国内有数の除湿機メーカーとしての技術を大いに発揮した。
開発製品が使われる生産現場ではマイナス40度CDP(DPは露点温度)以下の特殊環境が求められる。だが、低露点環境を整えるにはエネルギー消費量の多い145度C以上の再生温度が必要となる。同除湿機は特許取得の2段除湿フローを採用。低露点空気の一部とヒートポンプ排熱を利用することと65度C前後の低温でもマイナス60度CDP以下の環境を実現する。
開発を指揮した技術開発本部の金偉力(ジンイリキ)シニアマネージャーは「排熱を効率よく利用する点や制御技術など専門技術の分野で苦労した」と振り返る。実機を組み、原因分析と試行錯誤を繰り返し、外気条件などさまざまなテストで性能を確かめた。
ネックは性能が高い分、同業他社に比べると導入費用が高い点。そこで「とにかく省エネをアピールしたい」と言い切る。リチウム電池などを製造するコストの変動費は乾燥空気を供給する除湿機のランニングコストが約20%を占めるという。
省エネで「電気代が4割程度削減できた」と喜ぶ納入先もあるという。メンテナンス費用を抑えており、1年で他社との差額を精算できる。「製造コストが減り企業は競争力を高められる」と胸を張る。
今後狙うのは環境規制を強める中国市場。国策としてEVなどエコカーの普及を促進して追い風が吹く。「月の半分は中国に出張している」と忙しい毎日。一方で、確かな手応えもつかんでおり「用途に合ったトータルの設備を提案したい」と意欲を燃やす。
(西部・増重直樹)
(木曜日に掲載)
(2017/6/15 05:00)