[ 科学技術・大学 ]

筑波大、「ナルコレプシー」改善 低分子化合物開発

(2017/6/19 05:00)

  • ナルコレプシーの発作を起こしたネズミにYNT−185を投与すると、症状が抑制された(筑波大の資料を基に作成)

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授らは、突然眠り込んでしまう過眠症の一種「ナルコレプシー症候群」の症状を抑える化合物を開発した。脳中の覚せい維持に関わる受容体を刺激する物質で、マウスの実験で効果を確認した。疾患の根本治療につながると期待される。

ナルコレプシーは覚せいを維持するホルモン「オレキシン」が9割の患者で欠乏している。脳でオレキシンを作る細胞が消失していることが原因だが、オレキシンは分子量が大きいため、経口などで投与しても脳には届きにくかった。

柳沢教授らは、オレキシンの受容体に着目し、オレキシン受容体に作用する低分子化合物「YNT―185」の開発に成功した。ナルコレプシーのモデルマウスにこの化合物を投与して脳波を調べると、活動期の覚せい時間が延長し、症状が改善した。また、7日間連続投与しても、効果は減弱しなかった。

柳沢教授は、「ナルコレプシーだけではなく時差ぼけや薬の副作用など、広い範囲の眠気に対して効果が期待できる。患者の負担軽減を考えて経口薬での実用化を目指したい」と話している。

(2017/6/19 05:00)

科学技術・大学のニュース一覧

おすすめコンテンツ

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

「現場のプロ」×「DXリーダー」を育てる 決定版 学び直しのカイゼン全書

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

2025年度版 技術士第二次試験「建設部門」<必須科目>論文対策キーワード

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策 第3版

GD&T(幾何公差設計法)活用術

GD&T(幾何公差設計法)活用術

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン