[ 科学技術・大学 ]

NEC、宇宙線でインフラ監視−透過度で劣化判断、20年に実用化

(2017/8/22 05:00)

  • エムモスに使われているミューオン検出器

NECは宇宙線の一種であり透過性の高い「ミュー粒子」(ミューオン)を使って道路や線路、橋の劣化などを調べる測定システムについて、2020年に事業展開する。ミューオンの都市インフラへの活用は珍しい。17年度中に技術を実証した後、装置の小型化やセンサーの感度、経済性などを検証。20年に実用化する。プラント管理や資源探査へも応用できるとみており、市場規模は数百億―数千億円を見込む。

開発するのは、ミューオンで巨大な物体の内部を透視する技術「ミュオグラフィ」を使った測定システム「mMOS」(エムモス)。ミューオンは高密度の物質を透過する際は少数の粒子しか通り抜けない。インフラが劣化するとミューオンの透過が増えると予想されるため、透過度を見れば劣化の判断につながる。

NECは東京大学地震研究所、ハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センターと5月に共同開発を始めている。現状のエムモスは縦1・3×横1・3×奥行き3メートルで、内部にミューオンを捉える小型センサーがある。

研究開発の第一段階として、鹿児島県・桜島の観測用にエムモスを設置した。小型のエムモスを使い、NEC玉川事業場(川崎市中原区)でインフラを模擬した構造物を観測する実験も9月上旬にも始める。

また、劣化した構造物の学習データを同システムに与え、災害発生時に壊れる危険性のあるインフラを人工知能(AI)で判定することも検討している。

(2017/8/22 05:00)

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