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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/10/17 05:00)
北越紀州製紙は木材パルプを化学処理だけで、ゲル状のセルロースナノファイバー(CNF)にする加工法を開発した。通常の製紙用パルプと複合化し、構造強度を備えたセルロース(植物繊維)素材のCNF強化シートにできる。機械処理工程を省いてナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)に加工するため、大幅なコストダウンが見込まれる。19日に静岡県富士市のふじさんめっせで開かれる「ふじのくにCNF総合展示会」(日刊工業新聞社など後援)でサンプルを初公開する。
北越紀州製紙は子会社の北越東洋ファイバー(静岡県沼津市)と共同で同展示会に出展する。パルプを薬品による化学処理で加工したゲル状CNFと、製紙用パルプと複合化したCNF強化シートの積層ブロックをサンプル展示する。
従来のCNF製法は回転する砥石(といし)の間でパルプを磨砕するグラインダー方式に代表される機械処理のみか、化学薬品による前処理と機械処理を組み合わせて解繊する方式。CNFは親水性が高く扱いにくいため、水の中に1―2%分散させたスラリー状や、添加剤を混ぜた粉粒体で供給されることが多い。新製法ではパルプを特殊な化学薬品に浸漬して表面から徐々にゲル化し、膨潤した状態で薬品を水に置換してCNFゲルを生成する。
製紙用パルプと複合化すると乾燥時、繊維が3次元的に絡み合って強度を発現。引っ張り強度は汎用プラスチックであるポリプロピレン(PP)の30メガ―80メガパスカルに対し、セルロースだけのCNF強化シートは95メガ―140メガパスカルだった。
ゲルを凍結乾燥して電子顕微鏡で観察し、パルプが繊維径数十ナノ―数百ナノメートルまで解繊されていることを確認した。「CNFゲルでセルロースを強化する新しいコンセプトの材料になる」(中俣恵一新機能材料開発室長)としている。
(2017/10/17 05:00)
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