[ 金融・商況 ]
(2017/11/2 15:00)
(ブルームバーグ)人工知能(AI)に依存する銀行やヘッジファンドは金融システムにとってリスクを高め、将来の危機を深刻化させる恐れがあるとの見方を、金融安定理事会(FSB)が示した。
米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などの規制当局でつくるFSBは、金融業界によるAI導入の加速は各社が技術に過度に依存する可能性を高め、リスクに対して一様に同じ見方を示すようになり、「金融ショックを増幅する」恐れがあると指摘する。
FSBはリポートで「AIや機械学習アプリケーションは、特定のリスクが適切に管理されれば、非常に有望だ」とした上で、人間の関与を減らすよう設計されたロボット利用技術の監視と試行の強化を呼び掛けた。
イングランド銀行(英中央銀行)の カーニー総裁が議長を務めるFSBは、こうした技術の多くは金融市場のボラティリティー(変動性)が低い局面で設計・試行され、その結果、「深刻な景気低迷や金融危機の局面では最適な行動を示唆しない可能性がある」と説明している。
世界の大手銀行とヘッジファンドは、コンピューターの処理能力によって迅速に分析可能なデータの新たな供給源が利用可能になったことに加え、コストと人員の削減に向けてこうしたツールを利用している。マネジメントコンサルタント会社オピマスの3月の推計によれば、AIの利用により世界の金融関連企業で2025年までに23万人が削減され、資産運用の分野では最も多い9万人が影響を受ける見通しだ。
原題: Robots in Finance Bring New Risks to Stability, Regulators Warn(抜粋)
(2017/11/2 15:00)