[ オピニオン ]

産業春秋/地方鉄道の可能性

(2018/5/1 05:00)

長年、通勤に使っている関西の私鉄・京阪電気鉄道。「京阪で引退した昔の車両が富山県で走っているらしい」。鉄道好きの息子に教えられ、現地へ確かめに行った。

京阪の旧車両を走らせているのは、富山地方鉄道(通称・地鉄)だ。立山黒部アルペンルートや宇奈月温泉など県内の有力観光地を結ぶ路線を持ち、2011年公開の映画『RAILWAYS』第2弾の舞台にもなった。

地鉄は京阪から「初代3000系特急」車両を1990年に譲渡された。黄色と緑の現地仕様塗装にし「かぼちゃ電車」と親しまれる。乗車すると昭和時代の赤い座席は変わらず、懐かしさがこみ上げてきた。13年には京阪独自の特急2階建て車両も地鉄に追加譲渡。塗装や「鳩」のヘッドマークはそのまま継承され、観光列車として活躍している。

富山は地鉄以外にも多様な電車が走る。市内は路面電車がひっきりなしに往来し、JRの廃止路線を引き継ぐ次世代型路面電車(LRT)「富山ライトレール」は国内のLRT成功モデルといわれる。

富山の隣県・金沢市は15年の北陸新幹線開業を機に観光客が押し寄せる。今の富山に金沢的な勢いはまだないが、地鉄のように工夫すれば活性化できる可能性を感じた。

(2018/5/1 05:00)

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