[ オピニオン ]
(2018/9/24 05:00)
1877年9月24日。「維新三傑」の一人である西郷隆盛が自刃し、西南戦争は終わりを告げた。大河ドラマ『西郷(せご)どん』で取り上げられている英雄だ。明治維新の立役者の中で、坂本龍馬と並んで人気が高い。西郷の政略を嫌う誠実さや、無私無欲な人間性が人気の理由だ。
「児孫(じそん)のために美田を買わず」は、西郷らしい名言で、「子どもをだめにするから、財産は残さないほうがよい」という意味で一般的には知られている。
実はそのニュアンスは、まったく西郷の意図したものではなかった。この言葉は、西郷が書いた漢詩『偶成(ぐうせい)』の最後に出てくる。
この漢詩の意味は、「何度もつらく苦しい経験を経て、志は初めて確固たるものになる。男たる者、玉となり砕け散っても、瓦のように生命をまっとうする生き方は恥じるものだ。後々まで伝えたい我が遺訓を世の中の人は知っているのだろうか。それは子孫に財産を残さないということだ」といった趣旨で書かれている。
「志を果たすために、すべてのものを犠牲にせよ」といったことが読み取れる。西郷は、まさに藩のため日本のために、すべてを、自分の命を賭(と)した。権力を背景にして利益を得ようとするどこかの国の輩とは違う。
(2018/9/24 05:00)