[ オピニオン ]
(2019/1/22 05:00)
「自治体にも(地場の)産業にも、知られていない」―。超スマート社会構想「ソサエティ5・0」に対する石田真敏総務相の見方だ。そこで普及と啓発を図ろうと昨年末、総務省に自らを本部長とする『地域力強化戦略本部』を発足した。
興味深いのは予算や税制とは無縁であること。「これから社会は大きく変わる。それを活用していこう。まず自治体の首長にメールをする」と“情熱”を前面に押し出す作戦。
同省は地方自治を所管するだけでなく、第5世代通信(5G)でもイノベーションに縁が深い。ただ石田さんは自らの市長経験などを踏まえて「地道にやっていけるところからでいい。ネット通販に販路を求めるだけでも違う。自治体のアンテナの高い職員に(同省の呼びかけに)反応してもらいたい」と期待を寄せる。
ソサエティ5・0は産業界が提唱し、政府戦略に組み入れた。主たる発案者のひとりは現・経団連会長の中西宏明さんだ。石田さんのこうした応援は大歓迎だろう。
ただ事業を推進するにはカネも手間もかかるのが現実。「総務省と自治体の双方向のやりとりの中で、いずれ別の施策も考える」という石田さんの言葉に、改めての支援を期待する向きもあるのでは…。
(2019/1/22 05:00)