[ オピニオン ]
(2019/4/25 05:00)
4月初旬、中学生になった息子を連れ、JR西日本が昨秋に整備した施設「祈りの杜(もり) 福知山線列車事故現場」(兵庫県尼崎市)を訪れた。将来就きたい職業に息子が鉄道会社をあげており、見ておくべき場所だと誘った。
今から14年前の2005年4月25日。JR福知山線の塚口駅―尼崎駅間で、運行の遅れを取り戻そうとする列車が制限速度を大幅に超えるスピードで曲線に進入し、車両が脱線した。先頭車両と2両目車両がマンションに衝突し大破。106人の乗客と運転士1人が亡くなられ、ケガ人も500人を超える痛ましい列車事故になった。
祈りの杜では、列車が衝突したマンションの一部がそのままの形で残されている。JR西は事故の痕跡を体感できる形で保存することで、事故を風化させないことを誓う。
JR西の新入社員研修でも、全員が祈りの杜を訪れる。同社の来島達夫社長は入社式で「直接事故の痕跡を自分の目で確認し、感じて考えることを通じて事故を心に刻んでもらいたい」と訓示した。
公共交通機関にとって、安全への取り組みは最も重視されるべきものだ。「人はエラーする」と謙虚に事故に向き合い続け、安全意識向上とその対策に努めてほしい。
(2019/4/25 05:00)