産業春秋／トップアスリートの姿勢

年１回は海外を訪れる機会があるのだが、長時間のフライトになかなか慣れない。機内で映画を見たり読書したりして過ごすものの、次第にそれらに集中できなくなってしまう。よく「寝てしまえばいい」と言われるのだが、眠ることができない。

先日、トップアスリートの方に取材するチャンスに恵まれた。世界的な大会に出場するため海外遠征することも多いだろうと思い、飛行機内での過ごし方を聞いた。

「新作映画とモバイル端末にダウンロードした動画コンテンツを見る。その時、１クール分のドラマを一気に視聴する」という回答だった。尋常でない集中力だ。

さらに「客室乗務員やお隣に座った乗客とコミュニケーションを取る」という。自身は海外を訪れても観光できる時間はほとんどない。その人たちが体験した観光地でのエピソードを聞くのがとても楽しいそうだ。片時も無駄にしない、何かを得ようとする姿勢がうかがえる。

「競技のパフォーマンスを上げるには、周りのスタッフとのコミュニケーションが必要だ」と繰り返し強調していた。集中力といい、コミュニケーションといい、常に何かを学ぶ姿勢といい、競技のパフォーマンスだけでない一流選手の凄さを垣間見た。