[ オピニオン ]
(2019/5/27 05:00)
個人的に所有する喜びは格別だと思う。平成も終盤に差し掛かろうとする頃、生まれて初めて自動車を購入し、晴れてオーナーとなった。免許取得の前からあこがれていた車で、納車初日は自宅の駐車場で車中泊をしたほど。
“物欲の塊”を自認する春秋子を横目に、商品やサービスに対する消費者の距離感はここ数年で大変革を遂げている。一定の料金を支払えば商品を使える定額制(サブスクリプション)サービスの台頭だ。
消費者の意識が「所有」から「利用」へとシフトし、自動車や家電、飲食店などでもサービスが始まっている。モノが売れない時代に、顧客と継続取引できるサービスとして各業界が熱視線を注ぐ。
例えば、トヨタ自動車は月利用の定額サービスを手がける新会社を設立し、東京都内の販売店で試験導入を開始。高級車ブランド「レクサス」対象のメニューでは3年間で6車種を乗り継げる。
「利用」へと意識変化した背景には参加型交流サイト(SNS)の普及も大きいという。個人の興味や思い出を手軽に共有できるSNSで、モノのシェアにも抵抗がなくなったというわけだ。自身では新車購入の欲望が沸々とわき起こる昨今。所有の暁には自分に「いいね」を送りたい。
(2019/5/27 05:00)