[ オピニオン ]
(2019/6/11 05:00)
明治維新は革命だったのか―。明治維新をめぐっては、いくつもの謎がある。日本だけではなく、アジアの国際秩序をも変えた大事件だったにもかかわらず、実はよく分かっていないのだ。
例えば、歴史学者の三井博氏は、著書『明治維新を考える』の中で、明治新政権が「復古」の大義を掲げながら「文明開化」なる欧化政策を推し進めたのはなぜかと問いかける。
発足した明治政府には「文明開化派」と「復古派」が存在していた。明治初年代の内部対立と西南戦争をピークとする士族反乱の背景には、この両派の対立があった。結局「文明開化派」が勝利することになる。
もっとも、明治元年から2年の間は、明治維新の当事者らは、それぞれ勝手にあるべき日本の姿を描いていた。岩倉具視にとっては、武士に政権を奪われる以前の朝廷政治を復興するという、文字通りの王政復古がその姿だった。島津久光らにとっては、自分が徳川に代わって将軍になることが明治維新だった。その久光に催促がましく見られて板挟みになって苦しんだのが西郷隆盛だ。
さまざまなビジョンがあったのだ。英国をはじめとする海外の影もちらつく。現実は誰の思惑とも違ったという見方もできなくはない。
(2019/6/11 05:00)