[ 政治・経済 ]
(2019/8/31 05:00)
総務省の有識者会議は30日、民放AMラジオ局のAM放送廃止とFM放送への転換を容認する方針を示した。ラジオ局の経営悪化を理由に日本民間放送連盟(民放連)が設備・運営コストの安いFMへの一本化に向け制度改正を要望していた。総務省は今後、FM転換・併用をラジオ局の選択に委ねる方向で具体的な検討を進め、2023年から一部地域で実証実験を始める見通し。
AMは高層ビルなどが多い都市部で電波が遮られる「都市型難聴」が問題。FM波はビルなどの中へも届きやすく、設備などの運営コストも安い。このため、14年以降、AM番組をFMで同時放送する「FM補完放送」(ワイドFM)を手掛けるラジオ局は、NHKを除く全国47社のうち現在44社に上る。
しかし、インターネットラジオの普及などからリスナー離れが進み、同時放送に伴う二重の投資負担は各局の経営を圧迫。有識者会議は各局の次々回の免許申請時期に当たる28年にはFM転換を可能にする制度改正を行うべきだと判断した。
総務省などは来年秋をめどにAM波停止など実験の具体案を示すが、AM波は遠方まで伝わりやすく、平野部や山間部で広く受信されている。AM廃止には慎重意見もあり、会議では放送が聞こえなくなる地域への対策などの課題も示された。(時事)
(2019/8/31 05:00)