(2020/2/5 05:00)
人材不足が中小企業にとって大きな問題となっている。生産性向上で対応すべきだが、これも大企業に比べて遅れているのが現状だ。
岩手県立大学の近藤信一准教授らは同県北部の地場産業であるアパレル・縫製産業16社にインタビュー調査を行った。その結果、「高い技術があるのに評価してくれないという声が多かったが、全体としては『疲弊している』といわざるを得ない状況だった」(近藤准教授)。
調査データをまとめると(1)作業員の勤続年数が長く平均年齢が高齢化(2)熟練技能者に対する加工賃が低い(3)多くの企業が多品種少量生産をしている―ことが分かった。多品種少量生産が多くロット数が少ないため人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の現場導入が難しい状況だった。
現場作業の約9割が女性で子どもの急病や高齢者の介護などで欠勤、遅刻、早退が発生した場合、生産計画や作業者の再配置が必要。多くの企業は管理者の経験と勘で再配置している。しかし再配置したラインや作業分担が効率的とは限らない。
近藤准教授は「生産管理と労務管理部門をデータ化した上で連携し、AIの活用で人員配置を最適化する。その結果、管理作業が効率化して生産性が改善される」と指摘する。さらに「これまで勘に頼ってきた見積もりを自動化すれば収益の見通しも立てやすい」という。
総務省の2017年通信利用動向調査によると従業員299人以下の中小企業のIoT、AI導入意向は、54%が「どちらも導入意向はない」だった。導入しない理由は「導入後のビジネスモデルが不明確」が最多だった。コストをかけても収益に結びつかない懸念があった。
中小企業にとって人手不足対策が喫緊の課題であり、IoTやAIが課題解決につながる道筋も見えてきた。まずは自社の問題のどこにIoTやAIが有効かを見極め、導入へ一歩踏み出してみてはどうか。地域の中小企業関連団体は、こうした企業の一歩を後押しする支援をしてもらいたい。
(2020/2/5 05:00)
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