(2021/10/21 05:00)
IoTは全ての人とモノがつながり、さまざまな情報や知識を共有し、新しい価値を創出する。政府が提唱する「ソサエティー5.0」で実現する社会に欠かせないデジタル技術の一つだ。デジタル化が加速し、生産や業務の効率化、サービス向上、技術革新に欠かせないIoTの普及が期待される。
製造現場をIoTで常時監視 年成長率10%見込む
IoTは工場自動化(FA)やエネルギー管理、スマート家電、製造現場や物流、住宅で活用されている。機器や装置がネットワークを通じて、データを送受信して機器間でつながっている。
調査会社のIDCジャパンによる国内IoT市場の2025年支出額は、20年比61.4%増の10兆1902億円と予測する。20-25年の年間平均成長率は10.1%を見込んでいる。産業分野では組み立て製造やプロセス製造、官公庁、公共/公益、小売り、運輸がけん引している。製造業は国内総生産(GDP)に占める比率が高くIoT活用の広がりに加えて、社会インフラの老朽化や高度道路交通システム(ITS)拡大などが支出額を底上げしている。
また労働人口減少や、AI基盤の高度化などの外部環境変化が、国内IoT市場の成長継続の要因になる。企業は自社の資産や製品などのIoTを進める過程で、AIやビジネスコンサルティングなどの投資を拡大させると考える。
特に製造現場では生産活動の可視化、予測、スピードアップ、全体の最適化による生産効率や品質の向上、コスト低減と収益向上、機器や装置の予知保全などが期待される。
こうした中、アズビルはAIを応用し常時オンライン監視することで、いつもと異なる動きを予兆段階で検知するシステム「BiG EYES(ビッグアイ)」を石油精製や化学、医薬/製薬、食品など幅広い分野に提案。15年にリリースし、これまでに50カ所以上の国内事業所に納入している。製造ラインの監視、製品品質の強化、予兆保全・状態基準保全(CBM)化、新製品の製造条件早期確立などを実現し、持続可能な発展につなげている。
製造機械メーカー向け 小型モデル提案
ビッグアイは製造現場に特化しており、各種プラントの温度や流量、圧力、液位といったデータを活用。計装機器の膨大な操業データを使い、正常な振る舞いを学習し、現在のセンター値とビッグアイが計算した推定値との関係性から不具合や異常稼働を検知する。制御システムの機種を問わずに監視システムを構築する。
ユーザー側ではデータを扱う専門家がいなくても、ユーザー自身で機能構築や、ユーザーの知識やノウハウをAIに反映して活用も可能だ。
さらに小型モデルとして製造機械メーカー向けにAIオンライン異常検知システム「ビッグアイEM」を提案している。AIによる異常予兆検知で、製造機器の付加価値向上が見込める。アズビルはビッグアイEMを製造機器に適応させるためのノウハウをパッケージ化して支援している。
IoTはシステム構築が多岐にわたり専門知識の要求など複雑に捉えがちになる。こうしたIoT導入の課題に応えた新しいビジネスチャンスの創出を背景に、IoT市場の拡大が見込める。
(2021/10/21 05:00)