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(2021/12/20 05:00)
トライ&エラーでバネ開発
(総合1から続く) 入社4年目で、2020年からは繊維強化プラスチック(FRP)製バネの研究開発に取り組んでいます。繊維と樹脂の複合材であるFRPは軽くて丈夫。車体の重量増加を解決する、電動車の時代の新材料として着目しています。
材料の試験評価を行っていると、推定と違う結果が出て原因の特定に苦慮することがあります。当社はそもそも鋼メーカー。FRPと金属では材料特性や評価方法、製品化への考え方が異なるため、文献を調べたり、専門家にアドバイスを頂いたりしています。バネ製品に求められる基本特性は材料が変わっても同じです。鋼の基礎もしっかり学ぼうと思っています。
成蹊大学理工学部では、細胞分子デバイス研究室で「大気圧プラズマ照射によるがん細胞死への過酸化水素関与」を研究しました。ただ特定の分野より、広がりがあって人々の生活に役立つ製品を手がけたいと三菱製鋼に入社しました。モノづくりで社会に貢献したいと考えます。
バネの開発と学生時代の研究には、進め方や理系の考え方といった共通点があります。手法を変えて何度も実験し、うまくいかなければ周りの人に相談するというトライ&エラーの繰り返しです。
今年の春には技術開発センターに後輩の女性が入社しました。分からないことに一つひとつ答えていきたいです。
趣味は料理で、圧力鍋でロールキャベツなどを煮込んでいます。手間のかかる料理は、効率よくできるようにまず段取りを考えます。結果を想定し、逆算して何をどうすべきかを探ります。仕事にもその習慣は通じています。(文=編集委員・山中久仁昭、写真=森住貴弘)
◇三菱製鋼 技術開発センター 吉野友梨(よしの・ゆり)さん
(2021/12/20 05:00)