(2022/4/15 00:00)
トルンプは総合板金加工機メーカー、ドイツ・トルンプ社の日本法人。事業開始から今年11月で45年になり、国内板金業界でも高い知名度を誇る。「技術やサービスに関する日本のお客様の要求は非常に厳しいが、それが技術革新の糧となっている。トルンプグループでは米国とともに日本市場をきわめて重要視しており、われわれも日本のお客様とともに成長することを望んでいる」と代表取締役社長のフォルカー ヤコブセン氏は語る。
―貴社の強みは。
「ワールドワイドで多岐にわたる事業を行い、毎年、収益の10%以上を研究開発費に充てて、新技術、新製品を生み続けていること。国内の場合、加工機本体はドイツから取り寄せるが、日本のお客様の要望に合わせてソフトウェア開発や棚の設置を行うなど、カスタマイズに力を注いでいることだ」
―最近の業績は。
「欧米と比べるとやや出遅れ感はあったが、日本市場の経済環境は徐々に回復し、コロナ禍以前の水準に戻りつつある。新規マシンを購入するため大きな投資を行う企業はまだ少ないが、買い替え需要は旺盛だ」
―新製品も発表しています。
「昨年は3機種を発表した。1つは協働ロボットを搭載したアーク溶接機の『TruArc Weld 1000』である。オペレーターが一度動作をおこなえ、あとはロボットが学習し、溶接の専門知識を持たなくても簡単操作で溶接できる。2つ目はパンチ・レーザ複合加工機の『TruMatic 3000 fiber』である。ワークにキズを付けずに高生産効率で加工できる。そして3つ目はパイプレーザ加工機『TruLaser Tube 3000 fiber』である。上位機種の『7000』や『5000』と比べて安価でありながら様々なパイプ材に対応でき、生産効率も高いマシンだ」
―それら製品の市場反応は。
「『TruArc Weld 1000』は大変好評だ。お客様の中には、当社の別のマシンを見るためにショールームを訪れたが、『このマシンの方に魅力を感じた』という人もいた。『TruMatic 3000 fiber』は、ショールームにて公開したばかりで今後、どのような反応が得られるか注目している。『TruLaser Tube 3000 fiber』は、販売を始めているが、現時点では更に機能やオプションの多い機種への関心が高い印象がある。従来、お客様から当社のマシンは『性能はよいが、価格がやや高い』と言われることがあったが、そのイメージを払拭し、当社マシンを初めて検討する企業でも、導入しやすいエントリーモデルにも注力している」
―サービス面の取り組みは。
「直近の話になるが、本年2月に京都に西日本初の『関西ショールーム』を開設した。従来、実際にデモを見たいときは、横浜の本社ショールームや展示会などに来ていただく以外になかったが、今後関西圏のお客様の需要により応えることができるようになる。また、サービスに関して一番重要なのは、故障や不具合が起きたとき、いかに早く修復するかということである。それに関しては、日本全国にエンジニアを配置し、何か起きたときにお客様のもとに行ける体制を整えている。その一方で、コロナ禍によりリモート対応を求めるお客様も少なくない。そこで現在、遠隔操作でトラブルシューティングに対応できる体制を構築しつつある」
―IoT関連の展開は。
「当社では、板金業のIoT化をサポートする『FABIOT(ファビオ)』というソフトウェアを販売している。工場内の様々なシステムをつなげ、生産状況をモニタリングし、共有・可視化することができる。昨年9月にはそれまでの稼働、生産進捗、負荷配分、停止、レポート、予実管理に加えて、部品が工場のどこにあるかが分かるトラッキング(追跡)機能を追加した。さらに本年4月には、加工している部品の原価計算機能も追加する予定だ」
―今後の商品開発、技術開発の方向性は。
「板金業は人手不足が深刻であり、経験のないオペレーターに頼らざるを得ないケースが増えている。そこで求められるのが、簡単操作のマシンである。当社としてもそこに注力したい。また、日本の企業は生産設備の自動化はかなり進んでいるが、IoTやデジタル化に関しては慎重である。しかし、生産設備だけ自動化しても、プロセスのデジタル化が伴わなければ、効果は半減してしまう。これらを一気に成し遂げるのは難しいだろうが、工場のスマート化に向けてお客様とともにステップ・バイ・ステップで臨む考えだ」
プレス技術4月臨時増刊号「板金加工読本2022」連動企画
(2022/4/15 00:00)