産業春秋/トランプ政策で米国は利上げ?

(2024/12/17 05:00)

トランプ米次期大統領は、自身への忠誠心を誓う閣僚で政権を固める。だが米連邦準備制度理事会(FRB)には手を出せず、パウエル議長の「任期途中での交代は考えていない」と明言している。任期は2026年5月まで。

トランプ氏は1期目の政権でパウエル氏をFRB議長に指名し、18年に就任した。だが1期目前半は政策金利の引き上げ局面。トランプ氏はむしろ金融緩和を求め、パウエル議長の政策を公然と批判することもあった。

パウエル議長の11月の会見。トランプ氏から求められても任期途中で「辞任しない」意向を示し、大統領による任期満了前の解任はそもそも「法律で認められていない」と指摘した。

ただ両者の衝突は早晩、起きるのではないか。FRBは17、18の両日に開く会合で3会合連続の利下げを決める可能性が高い。だがトランプ政権が誕生する25年1月以降、インフレが再燃すればFRBは「利下げ」を停止し、トランプ氏が嫌う「利上げ」に転じることも絵空事でない。

トランプ政権による追加関税が物価を押し上げ、違法移民の送還が人手不足による人件費高騰を招く。トランプ氏の首に鈴を付ける閣僚はおらず、世界経済の懸念は尽きない。

(2024/12/17 05:00)

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