(2024/7/4 00:00)
企業は規模を問わずカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)への対応が急務だ。日立システムズは、強みであるデジタル技術を生かし、顧客のグリーン・トランスフォーメーション(GX)を支援している。自社と日立グループの知見や他社との協創の成果、新技術を取り入れた多彩な商材により、CN達成に向けた取り組みの全段階に対応する。グリーントランスフォーメーション推進統括本部の泉菜穂子担当本部長に日本のCNの現状や一押しの商材、今後の展望を聞いた。
現在はGXを事業成長に生かすチャンス
―日本のCNを取り巻く現状をどのように見ますか。
「政府は、環境に配慮した『グリーン製品』の付加価値が適正評価される市場の創造が不可欠としてさまざまな政策を打ち出しています。加えて、環境・社会・企業統治(ESG)を基準とした投資が台頭し、現在はGX市場に資金が流入している状態です。環境対策に取り組む企業は今後ますます評価される傾向にあり、GXを事業成長に生かすチャンスが到来しています。」
日立システムズで培った環境対策の知見を顧客へ展開
―日立グループは2050年度までにバリューチェーンでのCN達成の目標を掲げています。日立システムズの取り組みの進捗(しんちょく)は。
「当社は自社事業所のCNを2030年度までに達成するという目標を掲げています。省エネルギー化や再生可能エネルギー由来の電力を導入し、2023年度は2010年比で温室効果ガス(GHG)排出量を約60%削減しました。」
「また、このたび当社で事業活動に関わるGHG排出量『スコープ1、2』に加えて、サプライチェーン(供給網)全体でのGHG排出量『スコープ3』を算定したところ、スコープ3が97%を占めていました。同比率は業態によって変動しますが、自社の実態を把握した上で本当に効果のある環境対策を行うことが重要です。当社で培ったノウハウは積極的に展開し、お客さまのCN達成を支援してまいります。」
工場の環境モニタリングから森林のカーボンクレジット創出まで。多彩な技術でCNに貢献
―2024年度もCNに貢献する多彩な製品の投入が予定されています。自律走行ロボットは業務効率化と環境対策の両面で活躍しますね。
「ロボットスタートアップのugo(ユーゴー、東京都千代田区)、日立プラントサービス(東京都豊島区)と当社の3社で協創し、業務DXロボットを使った工場点検作業の自動化サービスを開発中です。AIを搭載したugoのロボットが工場内を巡回しつつ、搭載した各種センサーがアナログメーターなどの数値を読み取り、データ化。さらに環境センサーで温度や湿度、気圧などの情報を取得します。読み取ったデータは工場設備保守のノウハウなどOT(制御・運用技術)と融合させ、作業効率とエネルギー効率の改善に貢献します。」
―地域と協創し、日本の国土の約7割を占める森林を生かした二酸化炭素(CO2)の削減施策も進めていますね。
「森林のCO2吸収力を高めるためには適切な森林調査・管理が欠かせませんが、その作業負荷が課題となっています。宮城県女川町の町有林にて森林調査のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する実証実験を行ったところ、森林に人が入って行う調査では19人で1日かかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると4人でも1日で実施可能なことが分かりました。獲得した知見を生かし、森林調査のDXを支援するサービスの提供を2024年度中に開始する予定です。」
「森林を適正に管理することで森林の経済的価値が向上すれば、森林の保全・整備を促進できます。さらには環境保全だけでなく地域の雇用創出など地域経済の好循環に貢献することも期待できます。」
「知る・測る・減らす」の3ステップを循環
―今後の展望は。
「まずは必達目標であるCN実現に向け、企業は社会の動向を『知る』ことで計画を立てる・自社のGHG排出量を『測る』・GHG排出量を『減らす』の3ステップを循環させることが重要です。日本のCN達成には中堅・中小企業の積極的な取り組みが欠かせません。当社は、環境対策にとどまらない経営課題をまとめて解決するDXをかけ合わせた提案と運用・保守に至るまでのトータルサポートができるという強みがあります。『思いはあるが、取り組み方に悩んでいる』という方はぜひ当社にご相談ください。」
*記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
日立システムズ DX・GXフェア 2024(2024年7月4日(木曜日)~7月5日(金曜日))
(2024/7/4 00:00)