[ オピニオン ]
(2017/10/23 05:00)
台風の中で投開票が行われた総選挙は、大方の予想の範囲の結果となった。公示直前に野党第1党が崩壊したことで、政権に対する批判は最後まで選挙戦の主導権を握れなかった。
定数465議席は戦後最少。18歳の有権者にとって初の政権選択選挙だったことも特記しておきたい。東京をはじめ多くの地域で区割りが変わり、大きな変化があった選挙区でも周知期間が十分でなかったことは残念だった。
戦後政治の転換点になるエポックは、自民党はじめ複数の政党が憲法改正を主要な公約として掲げたことだ。かつてのような護憲論者のアレルギー的拒否反応は沈静化し、冷静な議論ができる環境になった。
産業界は憲法改正について、まだきちんと議論していない。ただ経団連は2005年の『わが国の基本問題を考える』と題した提言で現行憲法を「綻(ほころ)びが目立つ」と評価。「法理と現実の乖離(かいり)を埋めるために多くの解釈改憲がなされ」ていることを批判した。これが議論のベースとなるはずだ。
国民も総選挙後の性急な改憲を望んでいないだろう。産業界としては、まず政府が具体的な案を示し、それを吟味する時間がほしい。その議論の間に、経済の立て直しを進めてもらいたい。
(2017/10/23 05:00)