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[ エレクトロニクス ]
(2016/4/2 05:00)
台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業とシャープは2日、鴻海によるシャープ買収について正式契約を交わした。同日、両社で共同運営する堺ディスプレイプロダクト(堺市堺区)で会見を開いた。鴻海の郭台銘会長は「シャープを変化させる触媒となり新しい成長にもっていく」と強調。ディスプレー技術や、モノのインターネット(IoT)技術を使った次世代住宅の開発に投資していく方針を示した。シャープは国内大手電機メーカーとして初めて海外企業の傘下に入り、再建を目指す。
会見の冒頭で郭鴻海会長、高橋興三シャープ社長らが出資に関する契約書にサインした。10月5日までに鴻海グループからシャープに3888億円を出資する。鴻海は議決権ベースで約66%を握る筆頭株主となる。
出資を受け、シャープは有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルに2000億円を投資するなどして再建を目指す。高橋社長は「当社にとって事業拡大と財務改善につながる。また両社にとって大きなシナジーを出せる」と語った。また郭鴻海会長はシャープ独自の酸化物半導体(IGZO)液晶技術を使って、既存の液晶事業でも成長を目指す考えを示した。
売却が決まっている大阪市阿倍野区のシャープ本社については、戴正呉鴻海副総裁が「できれば買い戻したい」と話した。戴鴻海副総裁は郭会長の右腕で、今後はシャープの役員も兼ねて再建を主導する見通し。シャープ社員の雇用について郭鴻海会長は「なるべく全員残れるように配慮する」とした。
一方、シャープの黒字化について具体的な時期は示さなかった。15年末に郭鴻海会長はシャープを3年で黒字化すると語っていたが、今日の会見では「(黒字化の時期は)心の中にしまっておく」と明言を避けた。
鴻海は3月31日付で、買収契約の保証金として1000億円をシャープに支払った。郭鴻海会長は「シャープ再建にいかにコミットしているかを示した」とし、「開発スピード向上やコスト低減などであらゆるサポートをしていく」と説明した。さらに「初のシャープペンシルなどを開発してきたイノベーションのDNAがあるからシャープが大好きだ」とも語った。
両社が買収に合意した2月25日時点では出資額を4890億としていたが、3888億円に減額した。郭鴻海会長は再度の引き下げの可能性について「ない。今日、(3888億円を出資する)サインを交わした」と否定した。また鴻海以外の都合や事象で契約が履行できなくなった場合、液晶事業だけを鴻海が買い取れる条項を加えたことについて、「実際にはそういったことはないと思っている。万が一のためだ」と述べた。
(2016/4/2 05:00)