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(2016/7/5 05:00)
コーセーの海外展開が本格化している。美白化粧水「雪肌精」をグローバル重点ブランドに位置づけ、世界の化粧品カウンターもデザインを統一したものに順次刷新する。今夏にはハワイに免税店を出店する。“爆買い”で訪日客に人気の雪肌精は、海外消費者からの注目度も高い。外尾秀人取締役に今後の展開を聞いた。(山下絵梨)
―海外市場攻略を強めています。
「雪肌精は1985年発売のロングセラー製品。海外ではアジア圏を中心に15の国と地域で展開している。今後は世界でブランド価値を上げる方向に投資を行う」
―どのように展開しますか。
「日本では、4月にあべのハルカス近鉄本店(大阪市)に出店し、十数年ぶりに百貨店へ再進出した。7月中旬には大阪で2店舗目の百貨店へ出店する。これまで雪肌精はドラッグストアで割引販売するセルフ化粧品だったが、3月の新製品から(商品やパッケージに価格を表示しないことで割引競争を防ぐ)ノー・プリント・プライス戦略をスタートした。海外では百貨店で販売する高級化粧品。“爆買い”の要因のひとつ、日本と中国の内外価格差是正にも取り組んだ。価格も価値もバラバラのブランドでは今後の競争は厳しい」
―ブランドイメージ統一も進めています。
「建築家の隈研吾氏にデザインを依頼し、雪肌精の和の雰囲気をイメージした化粧品カウンターを大阪の百貨店に設置した。今後は海外の百貨店、今夏オープンするハワイの免税店、新店に順次導入していく」
―海外展開の拡大に対応した生産・流通はどうしますか。
「信頼が高い“日本製”であることが重要。海外製造は考えていない。17年完成の群馬工場で増産対応する。カウンセリング重視のため、消費者向け越境電子商取引(越境EC)サイトへの出店も行わない」
―今後の課題は。
「改革はまだ道半ば。今後の市場をリードする“業界初”といった画期的なアイテムをつくる必要がある」
「中国市場では、若い世代を取り込む工夫が必要。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)での情報発信などを考えている」
―売り上げ目標は。
「15年度の売上高300億円から、20年度には500億円へ引き上げる。国内ドラッグストアと国内外の百貨店で250億円ずつの構成に持って行きたい。国・モノ・チャンネルのボーダーレス化が雪肌精の成長のカギだ」
【チェックポイント/守って攻める姿勢崩さずに】
ブランドの成熟に伴いユーザーの平均年齢も高くなる。ロングセラーの「雪肌精」は広告や製品の刷新で20代の支持を集め顧客拡大に成功。さらに訪日外国人客購買の追い風も吹いた。ブランドを長く育てたからこそ商機につながったといえる。量を追うのではなく、価値を“守って攻める”姿勢を崩さない考えだ。
(2016/7/5 05:00)