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[ 自動車・輸送機 ]
(2016/7/7 05:00)
【鉄とアルミ、摩擦で接合/サブフレーム軽量化】
自動車にとって永遠のテーマの一つが軽量化だ。燃費性能を高めるため、環境性能を向上させるため、部品メーカーは日夜技術の開発に力を入れている。エフテックは摩擦撹拌接合(FSW)を使って鉄とアルミニウムという異なる材料をくっつけ、車の骨格部材であるサブフレームを、機能性を保ちながら軽くした。
FSWは部材を摩擦させながら、かき混ぜてくっつける技術。エフテックはもともとアルミをFSWで付けて作ったサブフレームを、ホンダの日本国内で販売する車種向けに納めていた。FSWを使った鉄とアルミの接合技術の開発に乗り出したのは2008年ごろ。ホンダが新車種向けに、この技術の開発と量産化に対する協力を求めてきた。
サブフレームは前部に安くて重い鉄を、後部に高価で軽いアルミを採用。安価と軽量化を果たしつつ、衝突時にエネルギーを吸収し、接合部を中心に壊れて乗員を守る構造だ。
鉄とアルミをFSWで付ける技術は他社が先行していたが、1カ所ずつ点で接合する方式のため、強度などの点で難があり、量産化には向かない。エフテックはロボットアームの先端に、特殊な金属で作ったツールを取り付けた生産機を開発し、ラインに配置した。ライン上に流れてきた鉄板の上にアルミを置き、その上からツールを回しながら押し付けて化学反応を起こし、金属を接合させる。
同時に、非破壊検査技術も開発。接合面にレーザーを当て、正しく付いたときに表れる面表面の温度変化を赤外線カメラで見極めて製品の合否を判断する。「開発やエビデンスの蓄積に、総じて4年ほどかかった。途中で開発をあきらめなくて良かった」と古澤好記取締役は振り返る。
サブフレームは1日1500本生産。北米で発売するアコードに搭載されている。燃費規制の強化で、今後ますます軽量化への要望は強くなり、他の材料との接合が必要になる場面も出てくるかもしれない。「鉄とアルミで苦労した経験を、他の材料へも応用したい」(古澤取締役)と技術開発に力を入れる。(山田諒)
◇
各自動車メーカーは軽量・低燃費化のたゆまぬ努力を重ね、ガソリンに代わる動力や自動運転・次世代安全技術の開発を急ぐ。これら性能向上、新技術の実現の裏には部品メーカーの存在がある。挑戦する姿を追う。
(随時掲載)
(2016/7/7 05:00)
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