(2024/12/16 05:00)
環太平洋連携協定(TPP)に英国が加盟する議定書が15日に発効した。2018年に11カ国で発足して以来、初めて加盟国が増え、経済圏が欧州に拡大した。世界が保護主義に傾く中、市場開放路線の堅持・拡大につなげたい。
20年に欧州連合(EU)を離脱した英国はインド太平洋地域を重視し、21年にTPP加盟を申請した。TPPには米中の経済大国は加盟していないが、世界の国内総生産(GDP)に占める割合は、英国加盟で12%から15%に拡大する。
英国は米豪とともにインド太平洋地域での軍事・安全保障枠組み「オーカス」にも参加している。安全保障の側面でもこの地域での存在感を高めてもらいたい。
TPPには中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナが加盟を申請している。中国は25年にTPP議長国となる豪州に接近。豪州への貿易制裁の解除に動き、TPP加盟への積極的な支持を求めている。
米国が抜けたTPPに中国を加えるのは現実的ではないが、それより気がかりなのが米国の行方だ。トランプ米次期大統領は、日本製を含む全ての輸入品に一律10―20%の関税を課す方針だ。TPPは中国以外の“仲間”を増やしたい。
(2024/12/16 05:00)