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[ 科学技術・大学 ]
(2016/9/5 05:00)
熊本地震では、熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋が崩落するなど、土砂災害によって大きな被害が出た。一方、同益城町では斜面を平たんにするため、住宅の下に盛られた土(盛土)が崩壊した。土砂災害による被害を防ぐための研究も進むが、研究機関はまずは地域の危険な場所を普段から把握することの重要性を呼びかけている。
防災科学技術研究所水・土砂防災研究部門の酒井直樹主任研究員らは、同南阿蘇村の大規模な斜面崩壊が発生した山の頂部付近で、割れ目「クラック」が発生していることを明らかにした。
クラックは山などの斜面に発生し、雨が降ると崩壊が起こりやすくなる。さらに傾斜が緩い斜面の崩壊など、降雨による土砂災害の危険性が高まっていることを突き止めた。
一方、同益城町では地盤の液状化が発生。盛土の崩壊による建物の被害もあった。酒井主任研究員は「家の周りの危険な斜面を把握するなど、自分用のハザードマップ(防災地図)の作成が重要だ」と話す。
防災科研では、土の中に埋めて土砂が移動する振動をとらえるセンサーの開発を進めており、実用化すれば土砂崩れの発生位置を推定できるようになる。しかし、地域によって土層の構成や強度が異なるため、あらゆる土地に有効なセンサーの開発は容易ではないという。
緊急時には自分の身は自分で守れるよう、地域の危険な場所と安全な場所を把握しておくことがそれぞれ求められる。
(2016/9/5 05:00)