[ 機械 ]
(2016/11/7 13:30)
JIMTOF2016では新設された東新展示棟7ホールの企画展示コーナーで、へら絞り体験ができる。へら絞りとは旋盤に取り付けられた金属の板材に「へら」と呼ばれる棒状の専用工具を押し当て、少しずつ変形させて加工する手法のこと。古くは鍋ややかんなどの加工に用いられ、現在でもロケットの先端部分(フェアリング)やパラボラアンテナの製造に欠かせない加工手法になっているという。会場ではへら絞り加工を行う北嶋絞製作所(東京都大田区)がもつ、高い技術も披露される。
来年に創業70周年を迎える北嶋絞製作所は一貫して絞り部品加工を専門に手がけている。へら絞り加工においては常に高い技術を保ちつつ、独自の先進技術を創造し続けてきた。
筆者は一足先に、北嶋絞製作所の工場でへら絞りの体験をさせてもらった。回転する金属板(厚さ0.8mmのステンレス板)にへらを押し当てると、徐々に金属が延びていき、次第に立体形状に成形される。へらの扱いが難しそうに見えるが、加工しやすいように工夫されている。マシンには突起が並ぶ治具が取り付けられている。へらの軸にあるくぼみを突起に合わせ、そこを支点にしてへらを動かす。脇にへらをはさんで先端を金属板に押しあて体重をかければ、てこの原理が働き、あまり力をいれなくても絞ることができる。焦らず徐々に、均一に力を加えるのがコツだ。
2分程度で直径15cmほどのお皿が出来上がった。かなりの部分を職人に手伝ってもらったが、意外にも上手くできたと思う。やはり自分で作ったものには愛着がわくもので、大事にしたくなる。自分の手で作ったものが形になるという、モノづくりの楽しさを味わえた。
北嶋貴弘社長は「高精度な機械がどんどん開発されているが、モノづくりの原点は手作業。へら絞り体験を通じて、手作業でしかできないものがあることを知ってほしいし、モノづくりの原点を感じてほしい」と来場を呼びかける。
(業務局企画部・大海渡宏美)
(2016/11/7 13:30)