[ ロボット ]

溶接ロボ「小次郎」、「武蔵」と生産性で勝負−松山鋼材、角形鋼管向け稼働

(2017/1/30 05:00)

■“燕返し”1工程で3面加工

  • “燕返し”で溶接するロボット「小次郎」

鋼材加工販売の松山鋼材(千葉県旭市、向後賢司社長、0479・57・3021)が、建築用胴縁同士を直交に取り付けるL字型金属ピース(ネコピース)溶接ロボット「小次郎」を完成、稼働させた。すでに稼働中の「武蔵」がC形鋼管向けなのに対し、「小次郎」はより高強度な角形鋼管向け。加工時間を従来の半分以下に短縮し、残業・休日出勤を大幅に減らせる。今後は「巌流島の戦い」のように両ロボットを競わせながら、合計で日産2000個の加工を目指す。(高橋沙世子)

小次郎は金属ピース搬送ロボット2台と、溶接専用ロボット2台の計4台のアーム型ロボットで構成。角形鋼管をラインに流し、2台の搬送ロボがトレーからピースを捕まえて側面に配置すると、溶接ロボ2台がピースの両サイドを同時に溶接。続けて上面、反対側の側面とピースを捕まえて溶接し、1工程で3面に同時に溶接する。

両側面を下から上向きに溶接する様が、佐々木小次郎の得意技である“燕(つばめ)返し”のようにみえることから「小次郎」と名付けた。「武蔵があるから、小次郎もいいじゃないか」という向後社長の遊び心もあったという。

小次郎にはQR(2次元)コードの読み込み機能も搭載。製品番号、長さ、取り付け方向、ピース溶接位置、サイズなどの情報をQRコードに盛り込み、それを読み込むだけで作業順番にこだわらないランダムな加工を可能にした。「これまでは10本の角形鋼管を並べてからでないと作業が始められなかった。今後は1本ずつ適当に並べながらでも作業できる」と向後社長は胸を張る。

開発にはパナソニックが協力し、“心臓部”となるロボットも同社製を導入。小次郎のオペレーターにはインドネシアからの実習生4人を任命した。

小次郎は1年前に稼働した武蔵の機能を踏襲。武蔵は搬送ロボ1台と溶接ロボ2台で構成し、宮本武蔵のように“二刀流”で溶接する。けがき作業や仮溶接、本溶接など手作業で行っていた作業を自動化したほか、加工時に発生する火花(スパッタ)が散らず、スパッタ掃除も不要だ。

2月中には武蔵にもQRコード読み込み機能を搭載する予定。向後社長は「武蔵も小次郎もまだ“修行中”。ライバル同士、腕を磨きながら成長してもらいたい」と話しており、今後もバージョンアップを進める考えだ。

(2017/1/30 05:00)

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