[ ICT ]
(2017/1/30 05:00)
【AI技術「Human Centric AI Zinrai」】
富士通は「Zinrai(ジンライ)」というブランドの下で、人工知能(AI)の知見や技術群を体系化している。その源流には、研究所で30年以上培ってきた画像処理や音声認識などの“虎の子”の技術がある。これらをどう世の中に出し、新しい価値を生み出すか取り組んできた。AIサービス事業部で指揮を執る山影譲AIコンサルティングサービス部長は「AIにはさまざまな形がある」と語る。
AIは学習や分析を担うアルゴリズムが決め手とされるが、それだけでは価値は生まない。「画像や音声も含め、多様なデータをたくさん学習できたかが重要であり、それがAIの価値につながる」(山影部長)という。
現場に出向き、多様なデータから価値を作り出すことが腕の見せどころ。売り切りではなく、納入した後も学習を続け、より良いものに改善する。
ジンライの強みは大きく三つある。一つ目は高性能なハードウエアを基盤としたディープラーニング(深層学習)による画像処理技術。グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の並列化にはスーパーコンピューターで培った技術を用いる。二つ目は自然な対話にも対応できる言語技術。三つ目は、データのつながりをグラフで示す「リンクド・オープン・データ(LOD)」と呼ぶ技術だ。
4月にはAIプラットフォームから、多様な機能を呼び出す応用プログラムインターフェース(API)の提供を始める。目玉は交通画像認識や需要予測などの「目的別API」で、2017年度中に9種類を順次提供する。基本APIを含め、計30種類を品ぞろえする計画だ。
今後は「IoT(モノのインターネット)とAIを掛け合わせ、相乗効果を狙う」(同)と力説。ロボットを含めて多様な機器をクラウドにつなぎ、AIで支援するサービスなども展開する。パートナー連携や海外展開もこれからが本番だ。
(編集委員・斎藤実)
【製品プロフィル】
ジンライは五感を駆使して気持ちを理解する「感性メディア技術」や機械処理できる知識を作り出す「知能技術」などで構成する。またスーパーコンピューターを活用し課題を解決する「数理技術」、それらを支える「学習技術」も備える。さらにアプリケーション化を支援する「プラットフォームサービス」も提供している。
(2017/1/30 05:00)
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