[ 政治・経済 ]

【電子版】トランプ政権、「通貨安誘導」で日本とドイツ批判-ドル強気派に教訓

(2017/2/1 07:00)

(ブルームバーグ)トランプ・トレードが裏目に出ている。米大統領と政府当局者らはドルが高過ぎると重ねて発言し、新政権の成長重視政策がドル相場を押し上げるとの期待を修正せざるを得なくなったドル強気派に痛い教訓を与えた。トランプ大統領と側近は31日、通貨が過小評価されているとして日本とドイツに矛先を向け、対米貿易で不公正な優位を享受しているとの批判を、中国とメキシコ以外にも広げた。

他国が自国通貨の下落を誘導するのを米国は実験ダミーのように黙って見ているだけだと、トランプ大統領はワシントンで苦言。トランプ政権が新設した国家通商会議(NTC)のナバロ委員長はこれより先、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、ユーロは「甚だしく過小評価されている」と批判した。

ドイツ、ユーロの「甚だしい過小評価」を悪用とトランプ氏側近-FT

貿易を重視する米政権の姿勢はドルの見通しを曇らせた。ドルはここ5週間で下落し、大統領選以降の上げの3分の1を返上した。ゴールドマン・サックス・グループやドイツ銀行などはドル上昇を見込み、年内に対ユーロ等価に達すると予想しているが、トランプ大統領はドル安を望む姿勢を示唆している。

ウニクレディトの外為戦略世界責任者、バシレイオス・ギオナキス氏はリポートで「米政権は為替レートを通商政策実行の基準点と考えている」と指摘、「ドル安政策へのシフトは自国通貨上昇につながりがちな関税設定と相いれない」として、31日の発言は矛盾でねじれた政策をさらに混乱させると述べた。

NY外為:ドルが下落、トランプ米大統領の発言を嫌気

(ブルームバーグ)31日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は昨年11月半ば以来の低水準を付けた。トランプ米大統領の発言を受けて、ドルは下げ足を速めた。大統領は他国が自国通貨の価値を押し下げていると主張した。

月末特有のポートフォリオのリバランスに関連した動きもドルの下げを増幅した可能性がある。10年債利回りが2.43%前後のこの日の最低水準に下げると、ドルは下げ幅を広げた。

ニューヨーク時間午後4時4分現在、ドルは円に対して前日比0.7%安の1ドル=112円93銭。対ユーロでは0.9%安の1ユーロ=1.0794ドル。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.7%低下。

(2017/2/1 07:00)

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