[ 政治・経済 ]
(2017/3/19 07:30)
【バーデンバーデン(ドイツ)時事】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日午後(日本時間同日深夜)、共同声明を採択して閉幕した。焦点の貿易分野に関しては、従来G20が表明してきた「保護主義に対抗する」という文言に米国が異論を唱えたため声明から削除。反保護主義や自由貿易推進の方針を打ち出さなかった。為替については、通貨安競争を回避するとしたG20合意を再確認した。
保護主義的な「米国第一」を掲げるトランプ米政権誕生が国際協調の枠組みにも影響を及ぼし始めた格好だ。
米国は自由貿易が貿易不均衡問題を生み出してきたとして、自国から見た「公正な貿易」の実現を訴えている。会議で、米国は「保護主義に対抗する」に替えて「自由で公正な貿易」の重要性を訴える文言にすべきだ主張した。
保護主義を懸念する欧州などとの調整が付かず、最終的に貿易に関する踏み込んだ表現は見送った。採択された声明は、経済に対する貿易の役割を高めていく必要性を強調するにとどめた。G20財務相会議の声明に「保護主義に対抗する」という表現が盛り込まれないのは、2014年9月以来だ。
会議後に記者会見した麻生太郎財務相は、貿易問題について「(7月の)G20サミット(首脳会議)に向けて議論していく」と述べ、協議を継続していく考えを示した。別途会見したムニューシン米財務長官は「自由貿易同様、均衡の取れた貿易を信じる」と語り、貿易不均衡の是正を目指す政権の立場を強調した。
声明は為替に関して、「通貨の競争的切り下げを回避する」と明記。「為替の過度の変動や無秩序な動きは金融・経済に悪影響を及ぼす」とも指摘した。トランプ氏は米国の貿易赤字相手国が通貨安誘導を行っていると批判しているが、G20は従来の為替に関する合意を改めて確認した。
このほか、声明では、世界経済について「回復が進んだが、望ましいペースよりも弱い」との認識を表明。成長加速に向けて、各国・地域が金融・財政政策、構造改革に取り組む決意を改めて示した。
麻生財務相、「G20で自由貿易の重要性共有」-米国に一定の理解
【バーデンバーデン時事】麻生太郎財務相は18日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に記者会見し、焦点となった貿易の議論について「自由貿易の重要性はG20で共有された」との考えを強調した。
保護主義的な主張を続けるトランプ米政権は、「公正な貿易」との表現で貿易赤字の削減を目指している。麻生氏は「行き過ぎた貿易不均衡は長く持つわけがない。(自由貿易は)しかるべきところでバランスを取らないといけない」と述べ、米国に一定の理解を示した。
共同声明から「保護主義への対抗」という文言がなくなったことに関しては、「米国に特に配慮した感じはない」との認識を示した。
(2017/3/19 07:30)