[ その他 ]
(2017/4/11 05:00)
【一般部門】
《優良賞》
■アイカムス・ラボ／培養液自動交換システム 「ＣｙｔｏＡｕｔｏ」
煩雑でルーチンな培養液交換作業を自動化し、研究者の負担を軽減できる。駆動装置、培養皿、リザーバー、廃液溜、流路プレートで構成。独自開発した超小型の樹脂製歯車減速機を組み込んだ直径８ミリメートルのマイクロアクチュエーターを採用してポンプを小型化し、流路プレートに内蔵した。ポンプと配管をつなげる作業をなくし、バイオハザードのリスクを低減した。古くなった培養液はポンプで生じた周辺大気圧との差圧で排出し、リザーバーから新鮮な培養液を供給する。流路プレートは樹脂製で、焼却処分できる。ＡＮＳＩ（米国家規格協会）／ＳＢＳ規格に準拠したサイズのインキュベーター、顕微鏡、ライブイメージング装置を利用できる。本体価格５０万円（税別）。（盛岡市）
■アルファ工業／コンクリートのひび割れ注入補修工法
トンネルのコンクリートのひび割れ面から直接、確実に補修材を注入できる高圧注入工法。注入プラグの形状を工夫し、補修材がネジ谷を流れてひび割れに浸透するようにした。低粘度で浸透性に優れ、母材と一体化して強度を保つ「湿面接着型・弾性エポキシ樹脂接着剤」も開発した。ひび割れ面に垂直に削孔し、プラグを埋め込んで３メガパスカル（メガは１００万）の圧力で注入する。注入範囲が広く、注入後にプラグを撤去できる。従来工法は斜めに削孔して埋め込むため、ひび割れ部分に到達する確率が２分の１で、撤去できないため落下の危険も残った。こうした課題を解消した。トンネル覆工厚３００ミリメートル未満でも施工できる。ＪＲ東海で採用されている。（横浜市鶴見区）
■ｅｆコラム工法協会／ｅｆコラム工法
住宅の地盤補強工法では、建物が重みで沈み込まないように改良体と呼ばれる構造物を地中に埋設し、建物の基礎と地盤の間を支える。このため、地盤の支持力を高めるには改良体を大型化する必要があった。これに対し、改良体を芯材鋼管、セメントミルク、ソイルセメントの３層構造とし、層の境界で摩擦抵抗を生じさせて支持力を高めた。従来工法の改良体コラム径は６００ミリメートルだが、これを３００ミリ―４００ミリメートルに小径化できる。３００ミリメートルの場合、セメント系固化材を約４分の１に減らせる。芯材鋼管は縞状鋼管や梨地鋼管で、解体時に掘削刃を入れる目印になるため撤去が容易で取り残しもなくせる。２０１６年は全国１００カ所以上の施工実績がある。（東京都中央区）
■片木アルミニューム製作所／アルミコイル製品端面自動補正装置
産業機械や一般消費財などの部材となるアルミニウム材は、地金を溶解・鋳造・圧延しコイル状にして出荷される。だが装置で巻き取る際、コイル表面の張力のバラつきなどから横幅方向にズレて端面が反り返るため、修正する必要がある。このズレを自動修正し、端面をきれいにそろえる。端部位置検出センサーで横幅方向のズレを読み取り、どの程度の力で押さえたら修正できるかを計算し、２基１組の押さえローラーで帯端部を押さえつける。直径７００ミリメートル程度のコイルの場合、端面２ミリメートル以下の凹凸で巻き取れる。既存設備に増設可能。通常は熟練作業者２人が左右からコイルを押さえて感覚で修正するが、こうした手間をなくせる。価格は仕様による。（大阪府泉南市）
■ココリサーチ／方向判別磁気式ギア速度センサ
歯車の可逆速度をセンサー１本で計測できる。また歯車のピッチを示す「モジュール１・０」「同１・５」「同２・０」のすべてに対応できるため、効率化を図れる。センサーの先端に配置した二つのホール素子が歯車の凹凸の磁気変化を検出し、方形波で出力する。高速、低速とも高精度で計測できる。センサー本体を完全密閉型一体構造の金属ケースとしたほか、ケーブル引き出し部分に独自の「コニカルプレス」を採用し、防水と防塵を示す国際規格「ＩＰ６７」に準拠した。水や油が付着する現場で使える。筐体（きょうたい）にモジュール目盛りを刻印し、セッティングを容易にした。後方から確認できる取り付けガイド板も用意した。価格は５万８０００円（税別）。（東京都中野区）
■大同化学工業／耐ビルドアップ性に優れる調質圧延液
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耐ビルドアップ性が優れる調質圧延液の残存成分
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耐ビルドアップ性が劣る調質圧延液の残存成分
鉄鋼メーカーは冷間圧延鋼板の焼鈍後の降伏点伸びの消去、表面粗度の調整、形状修正、板厚や表面硬度の調整のため、調質圧延をする。この際、調質圧延液の成分が焼鈍残渣や摩耗鉄粉を吸着包含して凝集固着するビルドアップが起こる。これを防ぐことが、生産性を向上するカギになる。大同化学工業は耐ビルドアップ性の評価方法を実機操業ラインとの相関性を探って確立し、調質圧延液を製造する際の成分組成決定のための指針を定めた。メーカーの製造鋼種、設備構成などに応じ、原液を一定の条件で処理した場合の粘度を５０００ミリ―１０万ミリパスカル秒の範囲内に調整して提供している。国内主要製鉄所で採用されている。（大阪市北区）
■タイムマシーン／ＡＣＡＬＡ ＭＥＳＨ／ＡＣＡＬＡ ＭＯＢＩＬＥ
無線センサーとインターネット通信を組み合わせたクラウド型環境監視ソリューション。「ＡＣＡＬＡ ＭＥＳＨ」は無線メッシュネットワークを使用した監視システムで、温度や湿度、傾斜度などのデータをリアルタイムで取得する。食品工場や物流現場などでの用途を見込む。センサーノードは防水設計で、食品衛生法に則した素材をケースに使用した。外部マイコンなどを使わない省電力設計により、毎分のデータ送信でも電池交換せずに５年間使える。「同ＭＯＢＩＬＥ」は車載用で、ＧＮＳＳ（全球測位衛星システム）と自立航法を組み合わせた。冷蔵庫や冷凍荷室を搭載した車両の位置や移動履歴を監視できる。いずれも月額定額料金で提供している。（東京都中央区）
■タンレイ工業／多様な素材・形状の大型容器を実現する熱間複合精密加工技術
回転する主軸などによる圧延で径を拡張するリングローリングと、素材を回転させながら一対のローラーを押しつけて軸方向に変形させるフローフォーミングを組み合わせた。熱間加工によって加工荷重を低減しつつ、成形中の熱変形を考慮し、仕上げ作業をほとんど必要としないニアネットシェイプ（完成品形状に近い成形）化を実現。材料ロスが少なくなるほか、作業時間を短縮し、短納期化を図れる。ステンレス鋼「ＳＵＳ３０４」のように耐熱性が高い難加工材にも対応できる。また汎用工具を用いて多品種小ロットのニーズに応える。汎用性に優れており、真空装置用ケーシングや産業機械用部品、ロボット部品などの幅広い用途に利用できる。（新潟県新発田市）
■ナベル／パック卵検査装置
透明パック容器の卵に赤外線を照射し、画像解析して割れや中身抜けを検出する。指向性が高い発光ダイオード（ＬＥＤ）の採用や照射角度の調整などにより、困難だった下部の割れを高精度で検出できるようにした。コンベヤーの上方からＬＥＤで照射し、下方からハイスピードモノクロカメラで撮影する。下部に割れがなければ赤外線が卵殻に吸収されるため、赤外線透過画像は全体が暗い。一方、割れがあるとそこから赤外線が漏れるため、白く光った部分が表れる。この部分の面積などを解析し、不良を検出する。検査ユニットと制御盤を分離した構成で、コンベヤー間の３０ミリメートル程度の隙間に設置できる。処理速度は毎時４０００パック。価格は１５８万円（税別）。（京都市南区）
■ライトニックス／植物由来の樹脂製経皮投与用ワクチン針
１００％ポリ乳酸製の経皮用ワクチン接種針。針の先端が薬物貯留チャンバー構造となっており、穿刺深さ位置をマイクロメートル単位（マイクロは１００万分の１）でコントロールし、表皮から深さ０・６ミリメートルの経皮内に微量の抗原量でワクチンを投与できる。また蚊の針を生体模写した形状を採用し、細胞を極力傷つけずに刺さるようにした。押し当てると自動的にケース内の針が飛び出し、接種後も自動的に格納されるため、再利用できない。扱いが容易で、二次感染を防止できる。京都大学のマウス実験では金属針に比べて微量な抗原量で抗体が発生することを確認できた。３針型のプロトタイプが完成している。（兵庫県西宮市）
(2017/4/11 05:00)
