[ 政治・経済 ]
(2017/6/19 15:30)
【パリ時事】18日投開票のフランス国民議会(下院)選決選投票で、マクロン大統領が結成した中道新党「共和国前進」が約6割の議席を獲得し、圧勝した。マクロン大統領は選挙で得られた「数の力」を背景に、これまでに公約した労働規制緩和をはじめとする改革を推進する構えだ。
大統領は落選した閣僚は更迭すると宣言していたが、利益供与疑惑が浮上したフェラン国土整備相を含め全閣僚が当選したため、選挙後に見込まれる内閣改造は小幅にとどまる公算が大きい。最大野党となった右派・共和党の弱体化を狙い、同党議員をさらに起用する案が取り沙汰されている。
マクロン政権は企業活動を後押しするため、従業員を解雇した際の補償金に上限を設けるといった労働規制緩和に取り組む方針だ。
オランド前政権では、当時の与党・社会党の一部議員の反発を受けて大胆な改革を打ち出せなかったが、マクロン大統領は下院の大半を自陣営の改革派議員で固めることに成功した。上院で多数を握る共和党は改革の方向性に大筋で賛同しており、議会対策は前政権よりも容易になるとみられる。
一方、労働組合はこうした政策に強く反発。決選投票の投票率が約43%と史上最低水準にとどまったことから、政権が有権者の強い信任を得たとは言い難く、痛みを伴う改革を国民がどこまで支持するかも不透明だ。改革を強行すれば、大規模なストや抗議活動が相次ぐ恐れもある。
今回の選挙は、共和国前進が既存政党からの脱却を掲げて民間の候補者を中心に擁立した結果、新人議員が与党のほとんどを占める「前代未聞」(上院議員)の事態となった。仏紙レゼコーは「右も左も分からない大量の新人議員は政権のリスクとなる」と指摘しており、与党議員の教育も課題となりそうだ。
地元メディアの推計によると、定数577の下院で共和国前進は350議席を得る。共和党などの右派グループは約3割減の136。社会党を中心とする左派グループは46と8割以上議席を減らす。
(2017/6/19 15:30)