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[ 自動車・輸送機 ]
(2017/6/21 05:00)
防衛装備庁は航空宇宙産業展「パリ国際航空ショー」で19日(現地時間)、海上自衛隊の固定翼哨戒機「P1」を実機展示した。フランス政府の要請を受けての出展で、自衛隊機が民間機中心の海外航空ショーに実機を出展するのは初めて。日本政府が防衛装備品の輸出にかじを切った中で、P1は特に成果が期待される機種だ。製造を担う日本企業からは、出展を歓迎する声が上がる。(パリ=戸村智幸)
【防衛協力の象徴】
パリ航空ショーの開幕間もない19日正午ごろ、パリ北東部の会場ル・ブルジェ空港では、P1の周囲に人だかりができていた。マクロン仏大統領が訪れたためだ。出迎えたのは若宮健嗣防衛副大臣。マクロン大統領は「素晴らしい機体だ」とP1をたたえ、若宮副大臣は「日仏の防衛協力の象徴にしたい」と応じたという。
若宮副大臣は面会後、仏へのP1の輸出の可能性を記者団に問われると、「具体的にどう進むかわからないが、いろんなレベルで話があると期待している」と語った。
【輸出条件を緩和】
日本政府は2014年、防衛装備移転三原則の運用を始め、防衛装備品の輸出条件を大幅に緩和した。だが、16年に豪州の潜水艦受注をめぐり仏に敗れるなど、これまで成果は出ていない。そうした中で期待を集めるのがP1だ。15年に英国の軍用機航空ショーに出展したのに続き、パリ国際航空ショーに乗り込んだ。
P1の製造に携わるメーカーからは、出展を輸出につなげてほしいとの声が上がる。川崎重工業は岐阜県各務原市の工場でP1を製造する。16年度までに35機(2機は試作機)受注したが、政府が輸出に成功すれば、大幅なビジネス拡大が見込める。並木祐之常務執行役員は「国内では製造できる機数は限られる。輸出できれば非常に良いチャンス」と期待する。
【世界にアピール】
IHIはP1のエンジン「F7」を製造する。民間機向けは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)など海外大手に部品を供給するのに対し、F7はIHIが全体をとりまとめる。松本直士執行役員は「日本でエンジンを製造する能力を維持できる」とF7を手がける意義を挙げつつ、「低空飛行できる優れた哨戒機なので、世界に向けたアピールになれば」と出展を歓迎する。
防衛装備品は各国の安全保障にかかわるため、輸出は一筋縄ではいかない。日本と輸出先の関係だけでなく、競合相手といかに渡り合うかも重要になる。そうしたハードルはあるが、今回の実機展示はP1を世界に知ってもらう格好の機会になったと言える。
(2017/6/21 05:00)