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[ 環境・エネルギー ]
(2017/7/18 14:00)
東京地裁は18日、出光興産による公募増資の差し止めを求めた出光創業家の仮処分申し立てを却下した。調達資金を借入金返済に充てるなどとした会社側の説明に一定の合理性を認め、「(増資の)主要目的が不当なものと認めることはできない」と判断した。増資によって昭和シェル石油との合併に反対してきた創業家の出光株の持ち分比率が下がれば、出光の合併構想は実現に向けて大きく前進することになる。
創業家側は決定を不服として、東京高裁に即時抗告した。
東京地裁は、増資について「(経営陣が)自らを有利な立場に置く(不当な)目的が存在した」と認定。成長のための投資などとした説明についても、合理性はないと指摘した。
一方で「借入金の弁済期を数カ月後に控えており、それまでに返済資金を用意する必要性が高いことは客観的に明らかだ」などとして、著しく不公正なものとまでは言えないと結論付けた。
会社側は20日に新株を発行し、最大1185億円を調達することになっている。創業家が握る出光株の持ち分比率は現在33.92%。増資によって株主総会で合併の是非を諮る特別決議を否決できる3分の1超の議決権を失う可能性が高い。
創業家は「現経営者の支配権維持が目的だ」と増資に反発し、4日に東京地裁に新株発行差し止めの仮処分を申請。増資目的の合理性が焦点となっていた。
【出光創業家問題】出光興産が目指す昭和シェル石油との合併に、大株主である出光昭介名誉会長ら創業家が反対している問題。創業家側は出光株の33.92%を持ち、株主総会で合併に必要な特別決議を阻止できる3分の1超の議決権を握る。2016年6月の株主総会で合併反対を表明し、17年4月の予定だった合併は無期延期された。経営側は今月3日に公募増資を決定。創業家側は、持ち分比率の低下を狙った不公正な措置だとして、東京地裁に差し止めの仮処分を申請していた。
(出光)
(2017/7/18 14:00)