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[ エレクトロニクス ]
(2017/8/24 05:00)
東芝が進める半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却期限が迫っている。8月末までの合意を目指し、産業革新機構を中心とする「日米韓連合」を軸に交渉が続くが、正式契約の妨げとなっている米ウエスタンデジタル(WD)との係争はいまだに解消されていない。WDを同連合に引き入れる案も検討中だが、連合に加わる韓国SKハイニックスの反発が予想され、新たな火種となる可能性がある。上場廃止の回避には2018年3月期末までの債務超過解消が必要だが、独占禁止法の審査を考慮すれば一刻の猶予もない。(渡辺光太)
東芝は6月に革新機構や日本政策投資銀行、米ベインキャピタル、SKなどで構成する日米韓連合を優先交渉先と定め、契約締結を目指している。だが、東芝とメモリー事業で提携するWDが契約違反を主張し、東芝メモリの売却差し止めを国際仲裁裁判所に提訴した。判決によっては売買取引が白紙に戻った際の損害賠償金などの訴訟リスクを連合側は警戒。「正式契約には係争状態の解消が前提」(関係者)との姿勢を貫く。
再浮上しているWDへの売却で係争を解消する案だが、一筋縄ではいかない。複数の関係者は「WDを入れるとなると韓国などを無視することになる。東芝はそこまで腹をくくれるか」と枠組みの組み替えに対して東芝内部でも意見が分かれているとみる。
仮にWDが連合に合流しても、同社は東芝メモリの経営権取得を狙っているため、出資条件などで折り合わない可能性がある。綱川智社長は10日、WDと米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の連合との交渉を明らかにした。WDの出資比率を2割未満に抑えて連合に参画する案なども模索しているもようだ。しかし東芝関係者は「(WDは)妥協しているようでしておらず、書面での正式手続きには全く進んでいない」と明かす。
さらに日米韓連合に加わるSKも議決権を要求した経緯があり、WDとの対立が予想される。東芝関係者は「SKとの関係がもつれれば、韓国の独禁法審査が通らない可能性もある」と憂慮する。
売却交渉は利害関係者(ステークホルダー)が多く交渉が複雑化しており、時間だけが過ぎている。独禁法の審査期間は一般的には半年以上が必要とされ、18年3月末までの売却を目指す東芝には時間がない。メーンバンク首脳は「そろそろタイムリミットだ」と迫り、「売却ができない可能性もある」(東芝幹部)と焦りをにじませている。
東芝がWDなどと落としどころを探り、説き伏せられなければメモリー事業売却を軸にした再建計画は頓挫しかねない。
(2017/8/24 05:00)
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