(2024/11/7 05:00)
デザインは社会課題を見つめて―。2024年度グッドデザイン賞は、作品傾向の変化がみてとれた。前年度まではコロナ禍で行動に制約があり、視点は生活と仕事の間、限られた範囲に向けられていた。
大賞には「障害の有無にかかわらず誰もが遊ぶことができる遊具」プロジェクトが選ばれた。医療ケア児の、遊びたくても遊べないという課題に、さまざまな個を持つ子どもたち、医師、ケアスタッフ、遊具デザイナー、地域住民が協働しで三つの遊具を開発した。そこに遊ぶきっかけが生まれ、幸せ広がる未来がみえる。
審査対象は5773件。大賞候補となった金賞20件は環境問題、少子高齢化、地方の再生などを視野にする。作品展示場に足を運んだ人が投票した「みんなの選んだグッドデザイン」は高齢者、子育て、学童の多世代共生複合型福祉施設に票が集まった。
物流の24年問題に取り組んだ作品も評価された。組み立て玩具のように自在に設置でき、荷物の出し入れ時間を大幅短縮する自動倉庫は、スタートアップが開発した。
金賞には半導体製造装置も2作品入った。半導体復権という日本の産業界の課題に立ち向かう。秀でたデザインの先に日本の未来を見た。
(2024/11/7 05:00)