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METI Journal×日刊工業新聞/10年先の会社を考えよう(8)

(2017/11/7 05:00)

「適当な後継者が見当たらない」「適切な参謀役がいない」と人材難で事業承継に踏み切れない企業は少なくないだろう。中小企業は、大企業ほど人材が豊富なわけではない。そこで有望視されるのが、大企業で経営を経験したOBだ。社長を任すのか、それとも参謀に迎えるのか。

コネクターの自動組み立て機などを手がける天竜精機(長野県駒ヶ根市)の小野賢一社長の前職は、日立ハイテクノロジーズの営業本部長。社長就任時の売上高は約19億円(2014年12月期)。それが17年12月期は約27億円まで伸びる計画だ。

【プロ経営者】

典型的な地方の中小企業が、大企業で幹部を務めたプロ経営者を迎えたことで、成長路線に乗ってきた。

天竜精機は大企業OBをトップに迎えて急速に体制を整える。事業計画や原価管理、採用計画など大企業では当たり前のことも本格的に導入。それまで管理職の仕事も曖昧で、実質的には社長と少数の役員の下に、社員がぶら下がり、製品ごとの損益計算もなされていなかった。

トップ営業をスタートして早々に「実は天竜精機を切ろうと思っていた」という本音を小野社長は聞かされたという。

【躍進支える原動力】

成長事業と位置づけていたリチウムイオン電池自動組み立て装置の営業でも、顧客から手応えがない。ただ社内体制を整えて、営業、製品開発に力を集中していったことで評価を高め、今では同社の業績躍進を支える原動力となった。

小野社長は「従業員が将来に夢を持てるように働きかけ続けられるメンタリティーを持っていることも不可欠」と、大企業から転じるであろう将来の中小企業社長候補たちにエールを送る。

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(2017/11/7 05:00)

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