(2024/12/19 05:00)
業界2位と3位が経営統合に向けた協議に入る。ホンダと日産自動車の話だが、2002年の旧川崎製鉄と旧NKKによる鉄鋼再編を思い出す。当時、筆者は鉄鋼業界を担当し、業界2位と3位の経営統合の会見にも臨んでいた。
鉄鋼再編の引き金を引いたのは、日産自動車の経営再建を託されたカルロス・ゴーン氏だった。巨額の有利子負債を圧縮するため、購入する自動車鋼板の値下げを迫る同氏。発注先を絞り、大量発注することを条件に価格の引き下げを求めたものだった。
それまで大手鉄鋼会社ごとに発注シェアは割り当てられていたが、ゴーン氏により競争原理が導入され、業界トップの新日本製鉄(当時)が大きくシェアを伸ばす結果となった。
この「ゴーン・ショック」が、大手鉄鋼会社による「護送船団方式」の協調路線を崩壊させ、鉄鋼業界2、3位の経営統合を後押しした。ゴーン氏が経営再建に臨んだその日産自動車が、ホンダとの経営統合に向けて協議に入るのは、何やら感慨深い。
ホンダと日産が経営統合すれば、トヨタ自動車連合との2大陣営の構図となる。両陣営は良い意味で競い合い、電気自動車(EV)で先行する米中を追撃すると期待したい。
(2024/12/19 05:00)