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(2017/12/16 07:00)
Part1では、女性の感性を生かした商品開発商品の変遷と再燃している現状をお伝えしました。今回は、以下の2点に関してお話しします。
1.女性の感性を生かした商品開発は本当にできるのか?
2.できるとしたなら、成功のポイントは?
商品開発における女性の感性のメリットとデメリット
女性の購入関与度や利用度が高い商品の開発においては、女性が開発プロジェクトに参画する場面が増えていますが、プロジェクト内での女性の役割は必ずしも明確ではありません。ここで、改めて女性の特性を【表1】にまとめてみました。
特性を集約すれば、女性が組織に捉われず、技術も意識しないことで生まれる自由な発想は貴重であるものの、具体的な仕様に落とし込めず、結果アイデア倒れに終わってしまうことが多いと言うことです。
商品開発における女性の真価は?
この高いハードルを乗り越えるには、一見突飛と映る女性の自由な発想やアイデアを、既存の技術とビジネスモデルのロジックに“丁寧に翻訳する作業”、それを担う体制が求められます。この翻訳作業は、やや大袈裟ですが、今までの商品開発には無かった、未知・異次元への跳躍です。
女性が開発に関わっても、この作業を疎かにしたまま開発を進行した場合、開発プロジェクトの頓挫や、中途半端な商品開発に至る危険性大です。
もろ刃の剣である女性の商品開発ですが、5つの特性を吟味頂ければお分かりの通り、商品開発において女性の感性が活きる場面は、機能などのハードよりも、コンセプトやニーズ、シーンなどのソフトに優位性があります。つまり、新たな視点で商品の入口であるコンセプトと出口の価値(ニーズ)を押さえる点に、進化が発揮されます。
女性開発の最大の課題は?
女性の商品開発における落とし穴、成功のポイントをご説明してきましたが、最後に、成否を決める最大の課題として、彼女らが「本気で商品を作る気があるかどうか」についてお話します。
当たり前ですが、男性、女性に関わらず、やらされ感や、他人事と思っているメンバーがいる限り、良い商品は生まれません。女性の開発プロジェクトは、往々にして社内のメインストリーム(主力事業)では無く、「良いものが出れば見つけモノ」的発想で扱われがちであり、彼女らの意欲を高めるものではありません。また、たとえ良い商品を作り出しても、主力部署からは「素人が何を言っているんだ」と批判され、過少評価されがちです。加えて、女性主体のプロジェクトは、通常業務を抱えたまま兼務で召集されることも多く、各メンバーの負荷バランスも異なり、プロジェクトチーム内の意思統一、コミュニケーションも容易ではありません。
女性開発の合言葉は、これ!
未だ逆境下、前途多難な女性開発プロジェクトが多く見受けられますが、筆者自身が前職で叩き込まれた3つの言葉を、開発プロジェクトを担う立場にある彼女らに、成功への期待を込めてお伝えします。
1.敵は社内にはいない、向かうべきは市場である
2.噂や批判に惑わされない、おしゃべりはマーケターの敵
3.おてんとさまは、ちゃんとあなたを見ています
(『新製品情報』2015年8月号掲載)
(毎週土曜日掲載)
【著者紹介】
日置 孝子
株式会社ウェルコインターナショナル 代表取締役
(マーケティングコンサルタント)
東京学芸大学卒業
出身:京都
略歴:1984年より独立系マーケティ ング会社にて、40余社の市場調査、商品・事業開発に従事。2001年、富士通株式会社のインターネット新規事業「iMiネット」の立ち上げに参画、2002年、同事業独立会社の株式会社ライフメディアに転職。インタラクティブマーケティング研究所所長を経て、2003年、ウェルコインターナショナルを設立し現在に至る。
(2017/12/16 07:00)