[ 金融・商況 ]
(2018/2/20 13:30)
コインベースの本社(サンフランシスコ=ブルームバーグ)
事態収束見えず、ツイッター元幹部採用
米コインベースは最も利用される仮想通貨オンライン取引所の一つだが、消費者金融保護局(CFPB)のウェブサイト上に寄せられる苦情が昨年から急増した。事態は悪化するばかりだ。
同サイトで受け付けたコインベースへの苦情は、昨年1月から8月の期間に293件以上に上った。今年に入ってからも既に900件を超えた。米掲示板サイト「レディット」にも、クレジットカードに身に覚えのない請求が複数発生したり、お金が消えたり、銀行口座残高がゼロになったなどとの書き込みが一部投資家から相次いだ。
ニュースサイトの「ザ・バージ」も先週遅くに伝えたこうした展開に対し、コインベースは責任の所在はカード決済を手掛けるビザやワールドペイにあると指摘。支払い手続きに絡む一部コードの変更で不具合が発生、「ビザ」カード利用者に複数の費用が請求されたという。16日遅くにはビザとワールドペイが責任を認める発表文を出し、顧客に全額返済すると説明した。
責任の所在がどこであれ、顧客から苦情が来ているのはコインベースであり、何とかしなければならない。評価額が約15億ドル(約1600億円)の同社にはスパーク・キャピタルやニューヨーク証券取引所などが出資、IT活用の新しい金融サービス「フィンテック」業界で最も名の知れた新興企業の1社だが、新興企業によくある問題に見舞われている。需要急増に対応する準備が整っていないのだ。
たった24時間で10万人余りがコインベースと契約したことが、昨年後半に少なくとも1回あったが、ウェブ関連の新興企業は対応が追い付かない。ツイッターならツイートが見られるようになるのに数分待てば済むものの、コインベースが顧客に過剰請求すれば、その顧客が毎月の家賃支払いに窮する事態になりかねない。
同社はカスタマーサービス責任者としてツイッターの元幹部を採用し、今年前半にサポートチームの人員を200人から500人に増やして将来に備えるとしている。(ブルームバーグ)
(2018/2/20 13:30)