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[ 化学・金属・繊維 ]
(2018/3/3 07:00)
新日鉄住金は2日、鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルと共同でインド4位の鉄鋼メーカー、エッサール・スチールの買収に乗り出すことで合意したと発表した。買収額は少なくとも60億ドル(6400億円)規模と見込まれている。世界の鉄鋼市場で最も成長が見込まれるインドでの需要を取り込む狙い。
発表資料によると、新日鉄住金とミタルは同日、共同で買収し経営することで基本契約を締結。エッサールはインド西海岸グジャラート州で生産能力1000万トン規模の製鉄所を操業しており、薄板や厚板、鋼管の製造・販売を手掛けるほか、同国東部では鉄鉱石鉱山も保有している。現在同国の倒産・破産法の下で再建手続き中で、売却の入札を進めている。新日鉄住金は、再建実績が豊富でインド市場への豊富な知見も持つミタルと組み再生を目指す方針。
同日会見した新日鉄住金の進藤孝生社長は「中長期的に大幅な成長が期待されるインドの鉄鋼需要をグループの成長ドライバーとして取り込んでいく」と狙いを説明。また、エッサールは、現在も操業を継続していることから、ゼロから製鉄所を立ち上げるより「メリットはある」とも語った。新日鉄住金とミタルは米国で合弁事業を展開するなど提携関係にある。
新日鉄住金は同日発表した2020年度までの3年間の中期経営計画で、企業の合併・買収(M&A)などの事業投資に今期までの3年間の計画と比べて倍となる6000億円を投じる方針を示した。
進藤社長はインフラ建設の旺盛な東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなどの新興国では着実な鉄鋼需要の増加が見込まれると説明。一方、こうした地域では自国内での鉄鋼生産を志向する傾向があるとして「保護主義の拡大や新興国での自国産化の動きへの備えを考える」と述べた。そのため、国内製鉄所から半製品を輸出して海外拠点で製品化して供給するというこれまでの分業モデルにとどまらず、「需要地域において鉄源から製品までの一貫生産拠点をグループ内に取り込むことも検討する」という。
中期経営計画では、老朽化した国内製鉄所の設備更新などに今期までの3年間と比べて35%多い総額1兆7000億円を投じる計画も示した。3年間で1500億円以上のコスト改善効果を見込む。(ブルームバーグ)
(2018/3/3 07:00)