[ 政治・経済 ]
(2018/4/4 11:30)
【ワシントン、北京時事】米通商代表部(USTR)は3日、通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害に対抗する貿易制裁の対象となる品目の原案を公表した。25%の関税が課される中国製品は約1300品目、総額500億ドル(約5兆3000億円)。航空宇宙、情報通信、産業ロボットなどのハイテク製品を主な標的にした。5月下旬まで企業など一般から意見を募った上で最終決定する。
USTRは声明で、制裁措置は「中国による不当な技術移転の強要で米国が受けた被害に見合うものだ」と正当性を訴えた。中国商務省報道官は即座に談話を出し、「強く糾弾する」と激しく反発。「米国製品に同規模の報復を行う」と表明した。直ちに世界貿易機関(WTO)に提訴する方針も示した。
中国は2日、米国が3月下旬に実施した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に対する報復関税を発動したばかり。米国はさらに知財権侵害を理由とする制裁で中国の重要品目を狙い撃ちにする構えだ。実際に発動すれば、米中の貿易摩擦は全面戦争に発展する恐れがある。
米国の2017年の対中貿易赤字は3752億ドルと赤字全体の半分弱を占めた。米国は赤字削減で成果を狙い、中国からの輸入に占める割合が比較的大きいハイテク製品に高関税を課す方針。世界最大市場である米国への供給が滞れば、中国に部品を輸出する新興国を含めアジア経済全体に打撃を与えそうだ。
米通商法301条は、「不公正貿易」があると判断すれば、大統領の権限で制裁措置が取れると定めている。米政府は制裁関税を課す品目について5月15日に公聴会を開いて意見を聴取し、早ければ6月にも課税の是非を最終判断する。発動判断まで約2カ月の猶予期間を設けることで、具体的な赤字削減策をめぐり中国から譲歩を引き出したい考えだ。
(2018/4/4 11:30)