[ オピニオン ]
(2018/4/25 05:00)
世界経済フォーラムがダボス会議に向けて発表した「グローバルリスク報告書2018」によると、「最も発生可能性が高いリスク」の1位が異常気象、2位が自然災害、5位が気候変動緩和・適応への失敗だった。また「最も負のインパクトが大きいリスク」として大量破壊兵器に次いで2―5位に異常気象、自然災害、気候変動緩和・適応への失敗、水の危機を挙げた。
15年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で「産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度C未満に抑え、平均気温上昇1・5度C未満を目指す」とのパリ協定が採択され、16年の11月に発効した。だが、依然として気候変動に関連するリスクが経済的な側面からも認識されていることが分かる。
日本は、30年度に13年度比で26%削減する中期目標を掲げ、長期的目標として50年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしている。人口減もあり、少しずつ減ってはいるが、石炭火力の新増設計画が多数あり、30年度目標達成も予断を許さない。ましてや50年で80%減実現は相当厳しくなりそうだ。
日本の炭素生産性(温室効果ガス排出1トン当たりで生み出す国内総生産)は、1990年代に世界最高水準だったが、現在は世界のトップレベルから大きく離された。つまり温室効果ガス排出を抑制しながら経済を成長させることができなかった。
“脱炭素”をビジネスチャンスとして経済成長につなげることが求められている。主要国のビジネスはすでにその方向に舵を切っている。日本も12年から化石燃料に対し地球温暖化対策のための課税が始まったが、脱炭素を促すほどの額ではない。
ここは温室効果ガスの排出に対して、本格的な炭素課税などカーボンプライシングを導入する段階に入っているのではないだろうか。もちろん、税収はすべて企業や家庭の温室効果ガス排出削減支援に充てることが肝心だ。脱炭素の好循環をつくって、産業振興と安全で豊かな生活を実現していかなければならない。
(2018/4/25 05:00)
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